17. 「経験の交差」を理解しておく

 設立から15年以上経過した現地法人では、現地の部下が新任駐在員より年上というケースが出てきます。また、管理者としてまとめてきた部下の数で逆転が起こったりもします(特に製造や営業部門)。

 私は、この逆転を「経験の交差」と呼んでいます。重要なのは、本当に経験量や熟練度が逆転したかどうかではなく、当の本人がそう感じているかどうかです。

 日本人駐在員の方は、だんだん赴任時点の年齢が下がる傾向にあり、未経験部署の管理者として赴任する場合もあります。一方、現地のベテラン社員たちは、自社で経験を重ねてきたわけで、それなりの自負や自信を持っています。そうすると、ある時期から、現地の部下が「上から目線」で新任上司を迎えるようになります。「今度来る小島ってウチで扱っている自動化ラインの経験ないんでしょ。チームリーダーで部下が10人ぐらいだっけ。こっちはオレの部下だけで300人いるぜ。またゼロから面倒見なきゃいけないのかよ……」。

 しかし、新任駐在員の方は、経験浅であればあるほど、いままでの経験職位よりも高い職位で赴任すればするほど、気負いながらやってきます。「統括部長職を拝命したからには、ビシッと引き締めていかなければ」。

 ここに悲劇が生まれます。面倒を見るつもりで新任者を待ち構える部下(部門の実質的ボス)と、気負って赴任してくる若手上司。猿山のボスの座争いを繰り広げたら勝敗は残酷なほど明らか。赴任者はまずこの交差を理解して臨む必要があります。

2019.08 BizChina誌

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