2008年初春:組織づくり三年の計(前)

2008.01&02 Whenever天津誌 掲載

新春おめでとうございます。現法経営者の皆さんには特別な年が明けました。

労働契約法という新たな制約条件が加わったことは、組織づくりの好機です。戦後の荒廃、オイルショック、急激な円高など、日本企業は逆境や制約条件をバネにして企業力を高めることができた不思議な力を秘めています。今後は、欧米系も、韓国系も、国内民営系も、同等の制約条件下で勝負です(私は密かにワクワクしています)。

さて、駆け込みで規定類を整備した2007年末と異なり、2008年は腰を据えてスタートを切りましょう。取り組むのは「組織づくり三年の計」です。これができるかどうかで、2010年にはかなり大きな差が出ることになります。

どれぐらい大きいかというと、


×アジア他国への移転を検討(脱出)
◎本社機能の一部移入を検討(高度化)


これぐらいの差になると思います。

では、いまから取り組む組織づくりの方向性をどうするべきか。私には明確な提案があります。それは、「成長しようとする社員を邪魔せず、伸ばせる組織にする」ことです。当然じゃないか、と思われるかもしれませんが、この方針はいくつかの重要な判断を含んでいます。

  • 現有能力ではなく成長力を重視する
  • 上位層をさらに伸ばすことを優先する
  • 下位層の底上げは後回しにする

日本的な感覚では、まず底上げに着手したくなりますが、中国においては、上を伸ばすことに集中しないと、全体としての組織力がなかなか上がりません。経営者の重点管理対象も「現場の困ったちゃん」ではなく、吸収意欲の高い先頭を走る社員でなければなりません。

この前提で、これからの三年間をどう使うか、今回と次回にまたがって、ポイントを四点挙げます。

(1)中核人材を発掘する

経営者が一人で孤軍奮闘しても限界があります。まずは味方づくり=中核人材の発掘から始めましょう。中核人材とは、経営者の物づくり観や経営観に共鳴してくれる人たちです。私の経験上、どんな会社でもこういう人物が意外なところに埋もれています。

ただし、中堅・幹部クラスに中核人材の候補が見あたらない場合、外部人材を採用して、沈滞する社内に新風を吹き込むことも検討して下さい。若手だけでは潰される恐れがあります。

実際に社内を見てみると、中核人材候補として見当がつくのは、全社員の5%程度だと思います。まずは経営者が日頃から彼らに直接声を掛け、彼らの声に耳を傾けて下さい。素直で伸びる人材は、直接コミュニケーションの量と成長度が比例します。そして経営者の姿勢や価値観に共感する社員は、賞与や給与を直ちに増やさなくても、経営者の期待を感知して発奮します。

ただし、彼らが発奮しても周囲の社員は冷めていますから、彼らが潰されないよう、日常的に声を掛け続けて下さい。

(2)会社の「掟」をきっちり運用する

12月号で、就業規則は「船乗りの掟」と書きました。船乗りの掟は、守らないと船員全員の生命に関わるため、荒くれ男たちを束ねて守らせる側は本気です。

では、会社の掟の場合、ルール破りを看過したり大目に見たりすると、どのような問題があるのでしょうか……? 色々考えられますが、一番怖いのは「中核人材や、彼らに続く若い芽が潰され、組織づくりが台無しになること」です。

どういうことかと言うと、(1)で経営者の期待に発奮した中核人材が、周囲の「差不多(だいたい、こんなもんでしょ)」で「没弁法(しょうがないじゃないですか、ムリです)」な社員とは異なる熱意を見せはじめた場合、普通は周囲から白眼視されて、陰に陽に責められます。

この際、経営者が、真面目に取り組む社員と、掟違反の社員を峻別しなければ、中核人材のハシゴを外すことになります。ダメな社員にダメ出しをしなければ、社員たちに経営者の価値基準や評価基準が伝わりません。

この結果、現場で幅を利かせるダメ社員を中心にして、中核人材の攻撃が強まっていきます。中核人材にしてみれば、経営者から期待を掛けられ、殻を破って頑張ろうとしたものの、周囲からは「自分だけいい格好しやがって」と非難される。頼みの綱の経営者は、掟破りに対しても煮え切らない態度でお茶を濁している……。

これでは、中核人材は全身に非難の矢が突き刺さって討ち死にしてしまいます。経営者に共感して殻を破って成長しようとした人材が、こうして周囲に潰されてしまうと、経営者のために一肌脱ごうという人材が社内から出てこなくなります。

これは絶対に避けねばなりません。正直者が馬鹿を見る組織は、成長どころか沈滞・停滞・退行します。出来の悪い子ほど情が湧くと言いますが、中国現法の人材管理においては、情けは問題児ではなく先頭を走って成長している中核人材に掛けなければなりません。

このためにも、会社の掟(特に紀律規定・懲戒規定)を厳格に運用し、素行不良の横行を許してはなりません。掟の徹底は、ダメ社員への愛の鞭、という以前に、中核人材が安心して成長できるための大切な環境づくりなのです。

2008年からの「組織づくり三年の計」

  1. 中核人材を発掘する
  2. 会社の掟をきっちり運用する
  3. 成長を促す人事制度づくり
  4. よい人材の獲り方を確立する

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