日本本社の皆さんへ

日本本社の皆さんへ 事件は現場で起きていますが、解決には……やっぱり本社の会議室も必要です。

こんにちは。小島です。今回から縁あってコラムを書くことになりました。

最初に何を書こうか考えましたが、日本本社に言いたくても言えない現地の声を挙げます。ただでさえハードルの高い中国での事業経営、支援する側とされる側で行き違いやストレスが溜まってはもったいないですからね。

ここに注意①「なんで天津だけ出来ないの?

上海に進出済みの企業が他地区で法人や拠点立ち上げを行う際、現地責任者が本社や上海本部から責められる言葉ナンバーワン。気持ちは分かります。だって香港や上海だと実際に出来ることですから。

しかし、第三者として明言しますが、こうやって現地責任者を責めるのは酷。なぜなら、「上海の常識は中国の非常識。中国の常識は上海の非常識」と言われるぐらい上海の方が特別だから。上海は、東京やシンガポールと並ぶような国際都市。政府にもビジネス感覚があり、中央の規制や政策をそのまま適用せず、外資企業の経営を考えてバランスを取るような柔軟さがあります。

一方、上海とは落差が大きい他地区でも、天津はとくに政府機関が保守的というか融通が利かないことで有名。「なんで天津だけ出来ないの」と聞かれたら、天津の企業人としては「上海じゃないからです」と言いたくなるのが実情。本社や本部で立てた計画に現実を合わせるより、現実を踏まえて計画を見直す方が賢明です。

ここに注意②「現地の採用はローカルに任せろよ」

採用の鉄則は「人物で絞って能力で選ぶ」。人物とは価値観や考え方も含めた人柄のことです。能力は採用してから伸ばせますが、後で考え方や価値観を変えるのは至難の業。

このため、効果的な採用(効率的な、ではないことに注意)には、初期面接で能力より人物を判断することが重要であり、初期段階から人物眼のある責任者が参画することをお勧めします。現場工までこのような対応をするのは難しいかもしれませんが、管理監督者や事務系では重要です。とくに日本語能力者を採用する場合は非常に重要です。

調達の課題、設備の問題、技術的な要改善事項などはいずれ解決できますが、採用の失敗は、教育や社内制度で取り返すことができません。また、長期で見れば生産性や品質の向上にも重大な影響を及ぼします。

ここに注意③「突然ストなんて……給料低くないだろ」

小さなストライキや労務問題を抱えている進出企業は、日本での想像を超えて多いのが実態です。御社だけの問題ではありません。多くの場合、問題は「給与や賞与」の形を取ります。でも、これは炎であって火種ではないことがほとんどなのです。

中国では工会(労働組合)が主導してストライキを起こすことはまずありません。ほとんどが『山猫スト(指導部の主導ではない、統制の取れていないストライキ)』。当初は要求が曖昧で、そもそも代表者を立ててくるまで数日を要することもあります。事態が進むと、結果的に給与や賞与などが要求事項として上がってきます。

こういうストライキは、具体的な要求を認めさせるために起きたというより、「経営側は信用できない。俺たちはいいように使われてる。許せない」と、積もり積もった不信感が爆発したもの。要求として分かりやすい処遇条件の形を取っていますが、要求を飲んでも本質的な問題解決にはなりません。

一方、本社を含めた経営側から見れば、「給与への不満」という理由は実は処理しやすいはず。問題の解決方法も金銭的負担の増加だけで済みます。

こうして、お互い本質に踏み込まないまま処理してしまうことは次の不幸につながっていきます。中国におけるストライキの本質は、ほとんどの場合コミュニケーション問題のはず。労務問題が発生したら、早期解決や円満解決だけを急ぐのではなく、ぜひ、腹を括って問題の本質を突き止めてください。

悩んだら、まずご相談ください。

2006.11 Jin誌 掲載を一部加筆

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