⑤仕事態度・ビジネスマナーの向上(1)態度を改めないワケ

日頃相談いただく内容の多さで双璧をなすのが、「いい人材が見つからない」と「仕事態度・ビジネスマナーが身につかない」です。そこで何回か、日系企業に限らず頭を抱えている難題、態度・マナーについて考えてみます。

態度を変えられない三要因

私自身、中国に来てすぐ、仕事態度・マナーの問題にぶつかりました。このコラムでは、先輩経営者の皆様を差しおいて最初から何もかも分かっているような書き方をしていますが、実際には失敗・挫折・衝突を繰り返してここまで来ました。最初の半年で体重が8kg減り、過労で病院に担ぎ込まれてそのまま入院したこともあります。

「外国人が言ってもダメなのか」「自分にリーダーシップがないのか」「そもそも自分の要求が間違っているのか」……。頭を悩まし、試行錯誤し、投げやりになり、腹を立てました。

ある日、ふと疑問が湧きました。
「なぜ態度を変えないんだろうか。どうして基礎マナーが身につかないんだろうか」

それまでは、「これじゃダメだ。変えなきゃ。どうやって変えさせよう……」などとばかり考えていましたが、この疑問を掘り下げることがその後の突破口になりました。

何度か整理して、現在は大きく三つの要因があると考えています。

(1)意志・自発心がない

今までの態度を変えたくない、変える気がないということです。経営者・管理者から見ると、まず目につくのがこれでしょう。でも、ここでため息をついてはいけません。もう一歩掘り下げて、「なぜ変える気がないのか」を考えると三つ思い当たります。

  • 自分の職位や給料の前提として求められる責任が分かっていない
  • 態度が良くても悪くても人事評価や給料が変わらない(と感じている)
  • 別にどうでもいいやと思っている(自分の人生に真摯ではない)

自身の人生に真摯ではないこと(自暴自棄、投げやり)が要因の場合、会社の共有価値観や文化と異なる人材を採用するべきかどうかという入口の問題でもあります。

(2)知らない・気づいていない

知らないから今までの態度を変えない、気づいていないから変えられないということです。では、何を知らない、気づいていないのでしょうか。

  • 良い(悪い)態度・身につけるべき基本マナーとはどんなものか知らない
  • 仕事態度が自分の職業人生に与える影響の大きさに気づいていない
  • 自分の言動に気づいていない、自分の態度が周囲に与えている印象に気づいていない

三番目は、自分を外から見ることができない、最近言われる「EQ(心の知能指数)」に関わる問題ですね。

(3)長年染みついた習慣がある

いわゆる、「分かっちゃいるけどやめられない」です。分かっていてもついつい言ってしまう、やってしまう。普段意識しているつもりでも、他のことに注意が向くと、無意識に染みついた習慣が出てしまう……。
習慣は、家庭環境、社会的背景、教育機会、年齢などの影響を受けて長い時間をかけて形成されたものです。

敢えて番外としますが、上述の三つに加えて、実はもう一つ要因が考えられます。社員たちが、「お前には言われたくない。お前の指示は聞きたくない」と感じている場合です。これは経営者・管理者と社員の間で信頼関係が構築できていないことを示していますので、態度やマナーを改めさせる以前の話から始める必要があります。

以上、社員が態度を変えないワケについて要因を整理してみました。「中国と日本では感覚が違うから。彼らの考えていることは分からんよ」と諦めるよりは、前に進む取っ掛かりができるのではないでしょうか。

2007.07 Jin誌 掲載

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