駐在員を教育するぐらいなら現地社員を教育せよ? 6

中国では、社内や中国の方だけでなく、日本人の皆さんとも、すっかり微信でやりとりするようになりましたが、日本だとLINEやFACEBOOKのメッセンジャーが中心。そしてどちらも中国では使用できないため、皆さんも使わない(一部特殊手段を除く)。だから、これまで私には使う機会がほとんどありませんでした。しかし、最近は日本で名刺交換する機会が増えてきたため、その場で「あ、じゃFACEBOOKで」と言われることがあります。が、私はあたふたして代わりに操作してもらうレベルです。

でも、十代や二十代の人たちにとっては、電子メールなんかより、LINEやFBやインスタの方がネイティブなんですよね。きっと、ベッキーとかサンダーバードと言っても、芸能人?とか特急?という反応しかないんだろうなぁと思います(どちらも私が長年使い慣れたメール用のソフトです)。

そんなSNSや年代のギャップを感じつつ、駐在員に対する認識ギャップの話を続けます。日本から見れば、「中国は市場としてだいぶ落ち着いたし、よくも悪くも馬力で突破するような時代ではない。組織のポジションも現地管理者でほとんど埋まって、彼らに任せればいいわけだから、駐在員はラインから外れて、必要な管理や本社とのつなぎを務めればいい。管理は現地社員で回るようにせよ」と言いたくなる情況かもしれませんが、現実はむしろ逆。こんな時代だからこそ、そして管理者の現地化が進んだからこそ、駐在者のリーダーシップの重要性は増しており、一方で役割を果たす難度は上がっています。

駐在者にとって現地の管理難度が上がっている原因の四つ目は「法律・政策の変化」です。

法律・政策面では
二度の大きな変化を経た

要因④ 法律・政策の変化

多くの日本企業が本格的に中国進出してから、法律・政策面では二度の大きな変化がありました。この変化の前と後では、別環境と言えるぐらいの違い。前の時代の経験者が再登板で中国に赴任して、「あまりの変化に愕然とした」とこぼすこともあります。

一つ目の変化は、2008年前後。労働契約法や労働仲裁に関する規定が整備されてからです。それまでは極端な言い方をすると、「嫌なら辞めてくれ」とか「悪いけれど今月末で契約終了」といったやり方が通る時代でした。いい人材が採れない、流動率が高い、問題従業員に手を焼くといった悩みはありましたが、従業員との労働仲裁や裁判も、ストライキも、ほとんどありませんでした。

ところが、2008年ごろからは、法律規定が整備され、労働者の権利について政府やメディアが啓蒙キャンペーンを行い、豊かになってきた労働者の自意識や自己の権利に対する意識も大きく変化していきました。労働仲裁が突然激増し、就業規則の整備とその運用に基づく解雇を行わない企業は、続々と敗訴していきました。統計は公開されていませんが、2011年当時の新聞で「天津では労働者の勝訴率が9割超」という記事を目にしたことがあります。2010年には、南方から始まった日系企業でのストライキ連鎖が全国を席巻し、多くの会社で20〜30%の昇給を余儀なくされました。

弁護士から聞いた話ですが、2007年以降、小額で面倒な労働案件を捨てて、M&Aなどの大型経済案件に群がる弁護士が大勢いたそうです。しかし、M&Aバブルが弾けて食えなくなり、再び労働案件に戻ろうとしたものの、時代の変化に適応できず戻れなくなったそうです。それほど激しい変化だったのです。

次回二つ目の変化に続きます。

●駐在難度が上がっている原因

□高成長時代が終わった

□駐在者と現地社員の経験の交差

□中国から見た日本像の変化

□法律・政策の変化

2018.02 Jin誌

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