ちょっと小休止…大阪桐蔭と金足農業の夏

これは九月号のコラムなので、もう印象が薄らいでしまっているかもしれませんが、今年の夏の甲子園は、最近関心の遠のいていた私でも、ついつい映像や記事に見入ってしまう面白さがありました。とくに大阪桐蔭と金足農業という話題性・ストーリー性で際立っていた、しかもあまりに対照的な二校が決勝で当たるというのは、劇画にしても出来すぎなクライマックスでした。

過去にも常勝軍団やタレント軍団や雑草軍団など、個性的なチームは少なくありませんでした。でも、ここまで私の関心を引き寄せることはありませんでした。なぜ今回が特別だったのか合理的な説明はできませんが、考えてみました(以下、玄人の皆さんには異論があるかもしれませんが、私なりの見解です)。

□大阪桐蔭・・・何人かの傑物がいる、憎らしいほど強いといった「力」だけでなく、野球への真摯な態度やチームの尊重、対戦相手への配慮など、大人も見習うべき「人間性」をも備えていた。勝ち上がるプロセスも、優勝候補を倒すという挑戦者の気合い以上に謙虚で油断がないため、相手もどうしようもなかった(ラオウにトキとケンシロウの人格が備わった状態)。優勝して当然というプレッシャー下で、また、判官贔屓だったりドラマチックな結末を期待したりする多くのファンが金足農業によるジャイアントキリングを期待する中で、きっちり勝ち切り、なおも敵役にならないだけの品格があった。

□金足農業・・・冬季練習でハンディを負う東北地方の公立、限られた資源と戦力、自校や地元でも初戦勝ち抜きさえそれほど期待されていなかったような実績、そしてスポーツ漫画の王道である「主人公とその仲間たち」の構図。主人公の八面六臂の活躍に加えて、(失礼ながら)無名の日替わりヒーローの活躍、素人ファンをも興奮・歓喜させる劇的な勝ち方で、強豪校を次々に倒しながら成長していく姿。自分たちの応援で主人公が成長していく漫画やドラマを見ているような感覚を持ったファンも多かったはず(むしろ、関心の薄かった人たちをもファンにしてしまったと言うべきか)。ここで大阪桐蔭を倒せば最高のエンディングだったが、それが果たせなくても、これまたファンの心を揺さぶる散り方で物語を完結させた。

さて、今回もまた本業である組織づくりという観点から言うと、私たちが目指すべきは間違いなく大阪桐蔭のような組織です。結果を出すべくして出せる、チームを優先できる、業績がよくても驕らず謙虚、優秀な人材が継続的に育ち層が厚い……。自分の会社でこういうチームが実現できたらどうなるか、皆さんイメージしてみてください。

とは言え、一足飛びにこの状態を目指せる組織ばかりではありません。そういう組織にとっては、金足農業の取り組みが一つの参考になりそうです。頼りになる管理者やリーダーを一人でいいから確保/育成する(吉田投手)。資源や環境の不利を言い訳にしない創意工夫で組織を鍛える(冬場の坂道ダッシュ、長靴で雪上ランニング)。業界常識や定石の逆をいく人材採用やチーム営業で独自の強みを築く(送りバント主体の攻撃)。

チームスポーツと同様、ビジネスも資源や体力に優れた組織が勝つとは限りませんので、いまある資源と前提条件を踏まえて、強い組織を築いていきましょう。

なお、資源も実績もある最強王者の大阪桐蔭と、応援団の費用に困窮してカンパを募るような雑草軍団の金足農業、両者のチームづくりで共通点だと思ったことがあります。それは「基礎の重視」です。体づくりの基礎だけでなく、人間性という人としての基礎も鍛えられていました(金足農業がこの面をどう育成しているか資料を探せませんでしたが、校歌斉唱や帽子裏の書き付けを見れば分かります)。企業の組織づくりも、まずは基礎徹底が必要だと思います。

2018.09 Jin誌

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