健全な組織経営の継続
駐在員の交代や幹部の離退職が組織の危機を招かないよう、経験と知恵を蓄積できる体制を整備。
アジアを中心に世界各地で拠点展開する企業グループの経営者Cさん。
Cさん:「小島さんは中国メインで十年以上でしょ。凄いと思うよ。俺はあちこちでビジネスしてきたけれど、中国は一番手ごわいと思うもん。見方を変えると、みんな頭もいいし優秀だしパワーもある。だから経営する側のレベルも高くないと手玉に取られるよね」
小島:「海外経験の豊富な皆さんはそう言われますね。ルールの厳格な国より、ルールが可視化されていない国の方が本当は難しい。しかも、北米や欧州は日本人にとって精神的な敷居が高いから気合いを入れて行くけれど、アジアは身構えずに行くから余計に大きなギャップがある。入口で大きくつまずくと、立て直せないまま任期満了なんてこともあります」
Cさん:「すごく分かる。俺も昔経験したから(笑)。まぁそもそも、ほとんどの会社は、そんなシビアな環境でボスとしてやれるかなんて基準で駐在員を選んでないよ。目先の業務を回せるか、ばっかり。長い目で見ると高くつくんだけれど、経営者が務まるような人材が社内にいるかっていうと、なかなか難しいしね」
小島:「経営者は実地に経験しないと学べない職業でもあるので、海外現法での経営経験を使って経営人材を育てるというのが順序だと思います。ただ、ネックとなるのが駐在員の短任期。通常2~4年だと思いますが、プロの経営者や監督だってこの期間で成果を出すのは相当に難しい。一年目は慣れるのに精一杯。二年目で全体が見えてくる。挑戦欲が出てきたらもう交代準備。残念ながら賽の河原の石積みです。まず本社側がこういう認識を持ってないと、経営者はとても育てられません」
Cさん:「痛いところを突くねぇ。でも、駐在任期の問題は、本社側の組織や人事、本人の家庭など、いろんなところに関わるから、すぐには変えられんよ」
小島:「中長期的には変革に挑戦してほしいところですが、短期的には難しいでしょうから、発想を転換する必要があります。現地経営者が短任期でも未経験でも、組織として知恵や経験を蓄積して継続的成長を図るにはどうしたらいいか。この方が現実的ですよね」
Cさん:「確かに。駐在経営者に依存すると、その人の当たり外れで大きく経営がブレちゃうしね」
小島:「私も現地で経営支援を始めた当初は、駐在経営者が自立して現地組織を運営できるようにすることを目標としていました。ですが最近は宗旨替えしました。自立できることよりも、現地法人の健全な経営が継続できることの方が重要。だから、助言や支援だけじゃなく、必要であれば前に出て牽引したり、課題解決の難所を代行したりもします。自立や内部蓄積が難しい場合は、弊社が蓄積して次の経営者に渡せばいいじゃないか、と考えるようになりました」
健全な組織経営の継続 これまでの実施事例
労務多発企業がグループ内の先進企業に
- 来社相談当初は幹部たちが率先して規律違反を犯し、グレーな噂も絶えない状態。
- ルールを再徹底し、それでも破った社員は懲戒処分。仲裁・裁判も辞さず断行した。
- 労務問題に悩まされない職場の確立。評価制度による管理者育成に着手。
- これらを通して人事担当者が管理者に成長、グループ他社からも頼られる存在に。
弊社を牽制機能として使い「罪を作らせない環境」を整えた
- 過去は現地総経理に管理を一任。組織の混乱と業績への影響から経営体制を刷新。
- 過去の管理や労務問題の歴史を把握し、会社側の問題は段階的に改善。
- 新体制では管理や法務の課題に関する弊社への相談・確認をルール化。
- 日本側は弊社に直接確認できるため、現地の管理・情報流が透明化・正常化した。
中国での経験と手法をアジア現法に展開
- 世界各地に現法を持っているが、中国では人と組織の管理に悩み、来社相談。
- 中国法人の課題解決を手がけるうち、これはアジア現法でも使えるのではと発見。
- 現地の専門家も活用しながら、組織管理の共通原則を横展開。
- 現地法人を使った経営人材の育成について、取り組み中。
健全な組織経営の重要性
昨今、中国事業における失敗や損失が主な原因で、日本本社(親会社)が倒産した、深刻なダメージを受けたというニュースが増えています。海外事業の売上比率が10%程度であれば、屋台骨が揺らぐようなことはないでしょうが、売上の半分以上を海外で稼いでいる、利益の大半を海外で確保している、生産機能を海外に依存しているという場合、海外事業の問題はグループ全体の経営を揺るがします。
深刻なダメージを受けた原因を見ていると、「現地を任せていた現地経営者が私的利得のため不正を働いていた」、「現地経営者が経営情況の粉飾を行っていた」、「労務問題があまりにひどく、深刻な赤字体質から脱却できる目処が立たない」といった内容が目立ちます。結局、これらは「人と組織」の問題です。
もちろん、海外法人の業績に影響を与える要素は組織だけではありません。市場環境・法律や政策・自然災害や社会不安といった外部要素もあります。ただ、外部要素は一企業の努力でなかなか解決できないことが多いものの、人と組織の問題は企業の自助努力で解決可能です。組織力を高めていけば、生産性や稼ぐ力が向上し、危機に耐える体力がつきます。また、外部環境の変化に適応する挑戦意欲や応変力も高まります。
これは一度確立すればよし、というものではなく、駐在員の交代や管理者の入れ替わりで、ブレたり揺らいだりするリスクが常にあります。ということは、現地の現任経営者の目線だけで対処するのではなく、本社や統括法人なども巻き込んで、継続的に追求していく必要があります。弊社では、この「経営の一貫性確保」に焦点を当てた会員制サービスを主力でご提供していますので、御社の課題に即したタイプを選んで、活用いただければと思います。
健全な組織経営の継続の支援メニュー
会員サービス"pass"
健全な組織経営の継続のために生まれた弊社主力メニュー。労務・組織・人事領域をカバーします。
"pass法務版"
"pass"にパートナー弁護士の法務サービスを付加。掟破りの無制限相談から示談までこれ一本で。
"pass多拠点版"
中国の多拠点展開を支援する"pass+"と、アジア事業を展開する日本本社を支援する"pass Asia"。
人材"不"採用支援
採用の要諦は、取るべきでない人の見極め。プロの目で資料チェック、第三者面接、レポートを実施。