お知らせ

2020.03.06

【新型コロナウイルス感染症関連④】 日中の「事態の交差」と現地の新たな注意喚起

小島です。3/5のレターでお送りした内容を若干加筆してお送りします。

以前から書いてきた日中の「事態の交差」は、さらに進展しています。

中国側では日本での新規ビザの発給停止、日本からの渡航者の制限といった動きがあります。日本側では中韓からの入国者の2週間待機要請、ビザの効力停止といった動きがあります。中国の感染は収束に向かう兆しを見せていますが、東アジアの相互往来はいったん凍結状態になりそうです。

中国の制限により、入国自体が認められないわけではありませんが、空港から移動の自由が制限される、隔離が強制化された、滞在資格の管理が厳しくなった、住居に戻れない(戻るのが大変)といった日常活動の大きな制約や支障が生じています。

それでも、ビザを取り消されたり入国を拒否されたりする他国よりマシ、と考えた方がいいのかもしれません。

なお、中国の皆さんは、今回の感染拡大時に日本側が大きな制限や制約を設けず、温度を感じる支援を行ったため、日本に感謝したり好印象を強めたりしましたが、街場ではまた異なる空気が生まれつつあります。

簡単に言ってしまうと「外国人への不信・拒絶」です。

●外国人への不信・拒絶の高まり

エリアによる濃淡はあるでしょうが、もっとも激しいのは韓国人に対する反応で、韓国から最近入境した人だけでなく、もとから中国内にいた人に対しても、近隣住民や大家が「自宅に戻るな、ホテルにでも泊まれ」といって、排斥するような話を見聞きします。

入手した映像や話が実話だとすると、さすがにそれは酷いと思うレベルです。

中国の人にどうしてこんな対応が生まれるのか聞くと、感染爆発した韓国から逃避してきた人たち(感染しているかも)というイメージを持っているようです。

中国に15年以上住んでいる日本人経営者に話を聞くと、韓国人ほどではないものの、近所で「お前は隔離が済んだのか」と聞かれたり、パン屋に日本人がいると中国人客が入店せず去ったりという事態が起きているようです。ちょっと《2012年の後半》を彷彿とさせるような雰囲気ですね。

●なぜ外国人拒絶の空気が生まれるのか

中国の街場で起きている「外国人拒絶」の空気について、私なりの見方を加えると、こんな感じになります。

・すでに自宅引きこもり状態となって一か月を超えた。
・とくに子供のいる家庭は、いろいろなストレスが限界を迎え、沸点ぎりぎり。
・ここで外からウイルスを持ち込まれて引きこもり延長になったら我慢できない!

ということで、外国人に向かっている負のエネルギーは、ウイルスや当局や子供にぶつけられない溜まりに溜まったものが、放出先を見つけたような面もあるのではないかと見ています。

ですので、日本人の立場としては、「いや、今回の件で日本は最大限の支援や配慮をしてきたんだから、少なくとも日本人にぶつけないでよ」と思いたくなりますが、上記のように、反日などとは全然異なる負のエネルギーの発露だったりしますので、不用意に反発したり、抵抗したりせず、摩擦を避けた方が賢明だと思います。

一方、日本でも、緊急事態モードに入ってから何週間かは事態に適応するのに精一杯で静かでしょうが、長引くとストレスの方が大きくなり、誰かに対する攻撃性として噴き出ないか心配です。

子供が学校へ行き、外でビールを飲み、思う存分会話できるようになれば、こういったエネルギーもあっという間に吐き出せます。

それまで、あと1〜2か月でしょうか。当たり前の日常が恋しいですね。

お互い、不安やいらだちを相手(どちらも被害者です)にぶつけたりしないよう、SNSなどで庶民の理性や正のエネルギーを広げていきたいなと思います。

小島