コラム

もう電子書籍しかないけど『中国駐在ハック』の宣伝をしたい

2025年12月16日

『中国駐在ハック』は、中国赴任予定者と、送り出す側の会社に向けて書きました。今思えば、こんなニッチな本をよく出版してくれたものです……。

書店に並んだのは2020年6月。これからコロナ期に突入というところで、タイミングがもう最悪。新しい中国赴任などまったくなくなり、現地の日本企業は操業再開さえも見込めない状況でした。

当然、大々的な広告も出版記念セミナーもなし。私たち自身の本業も先が見えない中、ひっそりと売られ始めました。

それが地道に売れ続けて、重版が売り切れるところまで来たのは、ひとえに読んでいただいた皆さん、紹介していただいた皆さんのおかげです。ありがとうございます。

中国赴任者の「転ばぬ先の杖」

この本を一言で表すと、中国赴任者の「転ばぬ先の杖」です。

中国駐在の任期はだいたい3年。つまり毎年3分の1が入れ替わります。私はこの20数年間、新任者が罠にかかったり、地雷を踏んだり、落とし穴にはまったりするところを散々見てきました。これらにはどこにあるか知っているだけで避けられるものも多々あります。どうかこれから来る人にはいきなりつまずかないでほしいという一心で作った本です。

本書には、中国の政治体制の基礎だとか、ビジネス慣行だとか、中国語の習得法だとか、そういうことは全然載っていません。書いてあるのは、赴任者が現地に着いた瞬間から、どこに落とし穴があるか、どうやってそれを飛び越えるかということだけ。ただでさえニッチな領域で、さらにニッチなことばかり書いてしまいました。

その代わり、実用性には自信があります。何せ私自身が20年以上、実際に地雷を回避してきたわけですし、赴任者の皆さんからも「おかげで助かった」「もっと早く知りたかった」というフィードバックをいただいています。

まだ右も左も分からないところから、徐々に慣れていって、「だいたいこんな感じかな」と把握するまでの期間が、ちょうど赴任してから半年〜1年。その間に地雷を踏まないための術は、時代や状況が多少変わったからといって通用しなくなることはないと思います。

どこに地雷や落とし穴があるか、まだ見当もつかない状態の方こそ、ぜひ読んでみてください。送り出す側・迎え入れる側の皆さんからも、新任者に勧めてもらえたらと思います。

最後に、この本では書けなかったことについて。

それは「どうやって現地組織をよりよくしていくか」ということです。駐在員をわざわざ現地に派遣するのは、本当はそのためだと思います。

現状維持ではなく、現状を土台に、どうやって会社を発展させていくか。今が苦しいなら、どう底入れをして反転させていくか。赴任者のミッションは本来そういうことのはず。

残念ながら、本書にはそこまでは入れられませんでした。まずは地雷を回避して、現地に慣れて、独自色を出しても大丈夫という手応えを感じるところまでいかないと、いきなり改革を始めても誰もついてきませんからね。

組織改革は私が手掛けている仕事のうちでも核となる部分。赴任者の皆さん、そろそろ仕掛けてもいいと思ったら、ぜひそのタイミングでご連絡ください。このnote、メール、HP、YouTube、X、WeChat、どこからでもかまいません。コーヒーでも飲みながら作戦会議をしましょう。

そして、そういう状況になったということは、皆さんが半年〜1年を大きな地雷を踏まずに乗り越えたということ。声をかけてもらえたら、著者としても非常に嬉しいです。

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この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。