コラム

【広東・上海版】11.持続可能な経営のために必要なこと 不正の打ち止めを

2023年10月20日
人事労務は海外経営の基礎

前回、「中国という事業環境における5年後、10年後の持続的発展を考える必要がある」と問題提起しました。事業構造(利益率)と将来を担う人材の確保がリンクしているため、負のスパイラルに陥っている会社が続々と発生しています。利益の出る体質を強化しないと人材を確保できない。よい人材を確保できなければ健全な未来を築くことができない。スパイラルですが、ここから抜け出すには利益体質の方を何とかする必要があります。

皆さんの本業で商品力や販売力をどう向上させるかについて、私は専門性を持っていません。しかし、どんな業界にも共通する不要なコスト・無駄な損失をどう潰すかというテーマには、20年近い経験があります。中でも真っ先に本腰を入れて撲滅するべきだと思っているのが「不正による損害」。不正=不正常/不正当な行いの中でも、特に「私的利得のための不正」とは毅然と戦って潰していく必要があります。

私のこういう姿勢に対して「青臭い」「理想論」と感じる方がいるかもしれません。中国に来た当初、私自身もそう学びました。当時、知己を得た中国経験30年以上の大ベテラン駐在員さんから教わったことが、強烈に焼き付いています。「小島さん、郷に入っては郷に従えだよ。ウチの会社にも不正やズルはたくさん潜んでいる。だけど、一つ一つ潰し始めたらキリがない。業務が回らなくなって大混乱をきたすだろう。だから、これは一種の必要悪。ここでビジネスをやるなら、そういうことも飲む必要がある」……改革開放の前から中国で仕事してきた方の言葉は重く、強い説得力がありました。

それからしばらく、この教えは私の判断基準となっていました。しかし、ある件を機に宗旨変えしていくことになります。

それは、自社で発生した「小娘のひと言で先輩社員が怒り泣きした事件」でした。

2022.03 Whenever広東、Whenever上海誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。