コラム

「気をつけます」で許すのはモグラ叩きを招く所業 序

2024年01月15日
日本流が通用しない時代の組織経営

最近、何回か恥ずかしい間違いをしでかしました。仕事で、相手のメールをしっかり読まずに思い込み、「こういうことですよね?」と返信。CCしていた社員から「小島さん、間違えてますよ。相手の方、たぶん今ごろ困惑していますよ」と突っ込みが入る。あわてて「ごめんなさい、勘違いしちゃって」とフォローのメール。

こんなことが何度か重なりました。仕事だけじゃなくてプライベートのメールでも……。私は社内で「同じ指摘を三人からもらったら、たまたまでも、相手の捉え方に問題があるのでもなく、自分に問題があると思った方がいい」と言っている立場。今回も三回以上重なったからには、たまたまで片付けるわけにはいきません。

問題が発生したシチュエーションを振り返ると、やはり共通点がありました。「頭が他のことに一杯で、相手のメールを確実に読まず、自分が『こういう流れのはず』と勝手に描いたストーリーに沿って内容を判断していた」のです。他のことに関心が行っているため、自分が書いたメールのチェックも疎か。これでは問題が起きて当たり前で、仕事人として恥ずかしい流出不良をしてしまいました。

角度を変えると、ミスが起きるときは、いつもと違うことをやっている。何かを手抜いたり、手順がひっくり返っていたり。どんな状況でも、基本を疎かにせず、原則に沿ってというのは、非常に大切なことであり、また難しいことだと痛感しています。

 

中国のマネジメントにおいても、こういう話は多いですよね。むしろこれが日常。いつもと違うことをやる。「こうだろう」という勝手な思い込みでやる。結果、問題が発生する。「なんでこんなことをやったんだ!」「申し訳ありません、気をつけます」とやり取りするも、またすぐ発生する。また注意し、気をつける。以下、繰り返し。

これはまさしく「終わることのないモグラ叩き」の典型。打ち止めするには、「叱る」と「気をつける」以外の対策が必要です。そもそも、「気をつける」は、気を取られたり、気を抜いたりしたら成り立たないので、崩壊を前提とした対策です。DACでも若手が「気をつけます」と答えることがありますが、私は毎回「いや、気をつけなくていいから、気を抜いても成り立つ対策を立てて」と言うようにしています。皆さんも、社員が「気をつけます」と言ったら、脊髄反射のように「気をつけないとミスが起きるなら、次回も必ず起きるよ」と突っ込んであげてください。

必要なのは、厳しい会社なら当たり前となっている「ポカヨケ(フェイルセーフ)」の考え方。これは不注意で誤った作業をしたり、システムが誤作動したりしても、安全な方に動作するような設計や思想のこと。ストーブが転倒すると自動消火する、ある作業を完了させないとパソコン画面に大写しの警告が消えない……などがそうですよね。これを中国の日常実務でどう取り入れるか、考えていってみましょう。

2022.08 Jin誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。