コラム

「面白くない」から「やらない」のではない 前

2023年11月15日
日本流が通用しない時代の組織経営

私の父は、サラリーマンを定年退職後、やりたかった園丁の仕事を自分で始めました。今風に言うとガーデナーでしょうか。古めかしかったのが急にかっこよくなりますね……。ネーミングは大事だなぁ。父は畑も50年くらいの経験があるので、こちらもセミプロ級。小学生のころは土日になると畑に連れて行かれ、手伝いをさせられました。まぁ、ほとんど弟と遊んでいましたが。

私は蚊が大の苦手で、刺されると盛大に腫れてかゆくなる。虫を追いかけ回して捕まえる子供でもなかったので、畑に一日いても退屈。夏休みともなると、暑いわ、木陰はないわで、畑は正直なところ苦手でした。こういう子供時代の体験とイメージがあるので、成人してからも私には土いじりへの憧れや興味がありませんでした。

ところが、子育てのため中国から日本に居を移す際に考えたのは、ボロくていいから庭のある家。三つ子の魂百までというべきか、土や木や虫に触れられる環境を子供に与えようと、ごく自然に考えたんですねぇ。縁あって、昭和中期の中古戸建てに住み始めました。すると、父(子供たちの爺ちゃん)が「庭を遊ばせておくのももったいないし、野菜を植えるか」と提起。子供たちは大賛成。期せずして家庭菜園ができました。これまでトウモロコシ、えだまめ、ピーマン、オクラ、きゅうり、ミニトマトなどを育ててきました。

家庭菜園を始めたのは、自発的でもゼロからでもありませんので、私は「家庭菜園のお守り役」程度の立場のつもり。ただ、近所では明らかに目立つ規模なので、背の高いトウモロコシや、ツルがどんどん広がるミニトマト・きゅうりが繁ってくると、近所の方(面識のない方も)から声がかかります。「本格的ですねぇ」「立派になりましたねぇ」「すごいですね」などと言われると、悪い気はしませんし、なんだか、いっぱしのようなつもりになってきます(錯覚ですが)。

こうしてお守り役を毎年続けていると、自分の心境にもちょっとずつ変化が生じます。例えばオクラ。一年目はほったらかしで、アホほど取れたので舐めていたら、二年目・三年目は全滅。四年目の今年は、毎日状態を観察することにしました。すると、まだ風除けの覆いを取らない早い段階で、若葉が穴だらけに。面積でいうと葉っぱの半分以上が穴。生長も止まってしまっている感じです。そう言えば昨年も同じような感じだったなと思って葉の裏表を詳細にチェックしても何もない。農薬を展着剤に混ぜて少し噴霧してみても変わらない。トウモロコシやきゅうりはどんどん伸びていくのに、オクラは伸びない。去年のパターンだとこれで枯れちゃうな……と思いながら、ある日水遣りをしようとすると、ホースのノズルが「掃除」モードのままで、強くて細い水流がオクラを直撃! やってしまった……。ただでさえ弱っているのに。葉が破れなかったかと近づいて見ると、地面に大きなイモムシが丸まっている。もしかして原因はこれか。茎と同じ緑色で巧みに隠れて、小さい虫用の農薬にもへっちゃら。こんなサイズのイモムシにやられたら、小さなオクラの葉っぱなんか食い尽くされて当然。イモムシには悪いですが、退場してもらったら、その日からオクラがすくすく育ち始めました。

2022.07 Jin誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。