コラム

日本の社長の平均年齢を知っていますか

2023年09月15日
日本流が通用しない時代の組織経営

日本の社長の平均年齢ってどれくらいかご存じですか。毎年、東京商工リサーチ社が統計を取って発表していて、2021年の調査結果が先日発表されました。。答えは62.77歳。2020年の62.49歳を更新して過去最高となりました。私の手元にある分だけを見ても、一貫して高齢化が進んでいます。皆さんの感覚では、思ったより高いですか。それとも意外に低いでしょうか。

もう一つ。この調査は「30代以下」「40代」「50代」「60代」「70代以上」に区切って分布を取っていますが、年齢別に見た社長の最多ゾーンはどこでしょうか。答えはなんと「70代以上」。しかも30代以下が最少で、40→50→60ときれいな逆ピラミッドになっています。さすがにこれはマズいんじゃないかなぁと考えてしまう結果です。

なお、増収率で見ると正反対。30代以下がもっとも高く、40代→50代と下がって、最低は70代以上です。ここから「年齢の高さと業績には因果関係がある」と結論づけられそうで、そう簡単でもない。例えば、規模が小さい・業績が悪い・将来性がないといった理由で後継者が見つからない会社ほど、現経営者が経営から退けないため年齢がどんどん上がっているという可能性もあります。こういう会社(業績も悪い)が増えているため、結果的に社長の年齢もどんどん上がっていくと考えれば、因果関係は逆になります。どちらにしても、70代以上の経営者が最多で、増収率が一番低いというのは客観的事実です。

高齢社長の増加より気になるのは、経営者の数と年齢が反比例していることです。少子高齢化が進めば、若いほど同年齢帯の人口も減るため、若い人の方が社長になる「割合」も低いかどうかは分かりません(調べてみます)。起業したくないのか、したくてもできないのかも要検証です。ただ、国力という観点で言えば、若いほど経営者が少ないという現状は、やはり未来が暗いですよね。

これから事業・経営を発展させていくためには、当然、これから中心になる世代を真ん中に置かなければなりません。また、海外の事業や取引があるなら、海外で当たり前の技術やプラットフォームを使えないと落伍します。SNS、クラウド、リモートワーク、オンライン会合……秘書や総務担当者なしに使いこなせるでしょうか。50歳前後の私も、ついて行くのに必死です。

追い打ちをかけるようですが(笑)、AIやDXという領域で、日本は中国の周回遅れだそうです。それも、四周か五周くらいの遅れ。だったら私なんか何周遅れているのか……。でも、これを読む皆さんにも私にも有利なことがあります。それは世界でも最先端を行く中国の実情に触れられること、中国の若い人たちとの接点があることです。中国の当たり前が日本で広がるには「何周か分」の時間があります。帰任したら、ぜひこういう黒船の存在も社内で啓蒙していってくださいね。

2022.06 Jin誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。