コラム
昇進拒否…上司みたいに働きたくない!
「管理職になりたくない」という人、多くありませんか。
「課長手前がいちばんバランスがいいんだよね。残業代は出るし責任は軽い。管理職なんてハズレくじだよ…」。私が2社目に勤めた職場で係長から直接聞いた話です。経営者の皆さん、どうすれば自社でこの風潮を変えられるのか。共に考えてみましょう。辛口注意!
小島のnoteをこちらに転載しています。
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管理職になりたくない
どの調査でも傾向は同様
管理職になるのがイヤだという人、多いですよね。昇進に関する調査を実施すると、管理職になりたくない人は女性と若手で顕著に多いそうです。

私もいろいろな調査を見ましたが、ほぼ似たような結果でした。比較的分かりやすい結果を引用します。

非管理職全体を対象にした結果では、管理職になりたくない人が72%を占めています。残りは条件次第という人と、管理職になりたい人ですね。女性だけに絞ると、77.3%が「管理職になりたいとは思わない」という結果が出ています。
なぜ管理職になりたくないのか
なぜ管理職になりたくないのか。集約してみると、だいたいこんな感じです。

責任が重い、ストレスが増す、仕事が増えるからイヤ。自分には向いていないと感じる。メンバーをリードしたり管理したりするのが苦手。ワークライフバランスが崩れるのは困る。自分の時間を取られたくない。そもそも管理職の仕事に興味が湧かず、やりがいを感じない。
上位に来るのはこういった理由。加えて、処遇が見合っていない、費用対効果が悪いといった理由もあります。
要は「今よりも幸せとは思えない」からですよね。身も蓋もない結論かもしれませんが…。
「今よりも大変になりそう」または「自分にはちょっと無理」と思うのに、それらを上回る魅力(やりがい・処遇)がない。管理職になったところで、今よりも自分が幸せになる・いい状態になる・豊かになるとは思えない。上の調査結果の根底にはこういう思惑があるのでしょう。
今の管理者を見てどう感じるか
周囲の若い人たちに、今の管理職を見ていてどう感じるか聞いてみると、返ってくるのは「無茶苦茶忙しそう」「上の思いつきに振り回されて大変そう」「パワハラでボロボロになっていてかわいそう」といった声です。
最近は上司だけでなく部下のケアも管理職がしなければいけない。「そこまで面倒を見なきゃいけないのか」とこっちが思うようなところまで管理職がフォローに回り、かえって疲弊している。いつもメンタル不調気味で、実際に戦線離脱したり辞めてしまったりすることもある。
その上、残業代は出ないし、管理職手当も雀の涙。多少処遇が増えたところで、まったく割がいいとは思えない。口には出さずとも、「自分は同じ目には遭いたくない」「あそこまでする意味がない」というのが若い人や女性の本音ではないでしょうか。
じゃあどうすれば?
今のミドルの後ろ姿は経営者が作り出している
若い人や女性が「管理職になったら大変そう」「責任を上回るほどの魅力がない」と感じるのは、今のミドルの後ろ姿を見ているからです。ミドルが大変そうにしている、ミドルが楽しそうに見えない、ミドルに対するサポートがない。だから、自分はなりたくない。彼らが昇進を嫌がるのは、現職の管理職のせいなんです。
では、ミドルがそんな状況になっているのは誰のせいか。私は「経営者のせい」だと断言します。
結局、今の管理職の姿を見て、「今の自分よりも幸せになれそう」「楽しそう」「人生が豊かになりそう」と感じれば、誰だってチャンスがあれば管理職をやってみたいと思うはずです。
やりたくないのはミドルのせい。そんなミドルに誰がしているかと言ったら、経営者です。
経営者にできることは?
経営者にできるのは、若手・女性から上がる「管理職になりたくない」という回答を直視し、そこで上がってきた「なりたくない要素」を反転して、自社のミドルに反映することです。
例えば、こんな感じに。
・管理職の処遇が魅力的
・管理職の姿がかっこいい
・管理職の仕事がチャレンジング
今のミドルが調査結果と反対の方向に向けて動き始めれば、その後ろ姿を見た「次の管理者候補たち」も考えが変わっていきます。
全員とは言いませんが、資質がある人たちは、管理職が変化すれば少なからず前向きな関心を持つはずです。
経営者は、今の非管理職はなぜ管理職になりたくないのか、調査結果を直視して、自社に同じような傾向がないか、考えてみてください。
今日のひと言
調査結果を反転してミドルに反映
自社の若手や女性に昇進を避ける傾向があるなら、それは今のミドルの姿が招いている事態です。そんなミドルにしている経営者の意識が変わらない限り、そしてミドルが変わらない限り、会社全体の未来を担う人材の考え方は変わりません。
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この記事を書いた人

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。