コラム

16年間のコラム連載を振り返って

2025年08月28日
日本流が通用しない時代の組織経営

このコラム、初回の掲載は2006年11月号でした。それから十六年ちょっと。激動の時代と、その最前線で奮闘する日系企業さんの姿を反映させながら、時に辛口に、皆さんへのエールのつもりで書いてきました。

最初のうちは一年続けることを目標に書いていました。そのうち書くことに慣れ、リズムを掴みましたが、誰からも何の反応もない。読んでいる人がいるのか、読んで意味があったのか、フィードバックが全くないまま書き続けるというのは、孤独な戦いでした(いまは。むしろそれが普通だと理解していますので平気♪)。

ところが、二年を過ぎたころ、名刺交換した方から「実はJINのコラム読んでいます」「前から読んでいるので、私としては初めて会った気がしません」と言われるように。こうなると、俄然やる気が出てきます。「一人の反応の裏側には、百人のサイレント・マジョリティがいる」という言葉は聞いたことがありましたので、何人かの方から反応があったということは、裏で何百人も読んでくれているかもしれないということ。このあたりから、書けるだけ書き続けるぞという気になりました。

とはいえ、仕事が忙しかったり体調不良が重なったりすると、「来月はスキップ=休載してもいいかな」という誘惑が出てくる。一度許すとペースを崩してガタガタするのは目に見えていたので、ペースメーカーを探すことにしました。私が意識したのは、私よりずっと前から寄稿していた先輩執筆陣たち。「先輩たちが書き続けている間は、自分も書き続けなくちゃアカンやろ」と自分に鞭を入れることができました。お陰でこれまで一度も原稿を落とすことなく連載。自分で勝手に思っているだけですが、これって結構すごいことじゃないかと。先輩たち様様です。

 

ただ、五年経ち、十年経つと、先輩たちも順に筆を置いていきました。「最初のころから読んでるよ」とエールを送っていただいた名物駐在員・起業家の方々も、徐々に帰国して減っていく。気づけば私が最古参のような立場になっています。昔話をしながら、「小島さん、あの時、あんなだったからねぇ」とか「アンタは昔っから同じことを言い続けてるよな」と突っ込まれることもなくなり、「へぇそうなんですか」という感じの反応に。

一方、私たちの方も、入居ビルから追い出され、合弁を閉め、事業継承し、日本に法人をつくり……と、それこそ隔世の感があります。さらにコロナを経て、私やDACの事業構成、皆さんとの接点の持ち方も劇的に変化しました。年に三回くらい開催していた自社セミナーが、オンラインで毎週実施、年四十八本になったわけですから、劇的といって大げさじゃないですよね。

……という外部環境の変化、自分たちの変化を踏まえ、昨年あたりから、そろそろこの連載にも一区切りつけるべきじゃないのかと考えるようになりました。次回・第190回をもって、この連載を締めくくりたいと思います。

2023.01 Jin誌

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この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。