コラム

中国人管理職が明かす「ここがダメだよ、中国駐在員」【本社・日本側の本質的問題編】

2026年06月05日
中国駐在…変化への適応さもなくば健全な撤退

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中国拠点で駐在員が無意識にやってしまいがちな「現地でのNG行動」について、日系企業勤務が長い中国人管理職の皆さんにインタビュー。今回は駐在員・本社の本質的な問題に踏み込んだ意見をお届けします。

毎週水曜に配信するYouTube動画のテキストバージョンです。
小島のnoteをこちらに転載しています。

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過去に「赴任直後から1年目までの駐在員がやりがちなNG行動」についてお届けしました。まだの方はこちらからお読みください。

今回は同じインタビューから、多くの日本人駐在員に共通する問題、最近特に目立つことを中心に、より本質的な問題に迫った意見をまとめました。

日本人駐在員・本社のNG行動【本質編】

NG行動①全体として責任感がやや弱い

特に上位の中国人管理職から多く出た意見。最近の駐在員や日本側は全体に責任感がやや弱い(小島注:「やや弱い」というのは彼らの優しさで、意訳すると「責任感がない」)。

NG行動②一部の中国人幹部に依存しすぎる

一部の中国人幹部に依存しすぎて、結果として権限の集中や肥大化を招いている。現地社員たちも、その状況が不正の温床になっている、年々問題が大きくなってきていると感じている。

NG行動③サプライヤーからの提案や協業の申し入れを受け付けない

「サプライヤーなんだから、我々の言う通りにしていればいい」という、力関係に基づく勘違いがある。昨今は中国のサプライヤーも力をつけており、中には共存共栄のための提案を出してきたり、大局的な見地から協業を持ちかけたりする会社もある。

しかし駐在員はハナから取り合わず、検討もせずに流してしまう。「相手の申し出にそのまま乗っかればいいわけではないが、もう少し中身に耳を傾けてもいいのではないか。建設的な話もあるのに」と残念に思われている。

NG行動④現場に足を運ばず、オフィスから指示するだけ

複数の人が「最近の駐在員は自分のデスクから動かないで指示だけ出している」と指摘。「日本人は現場に足を運ぶのが好きではない」と言い切った幹部さえいた。工場だけではなく、商社や統括など多拠点を取りまとめているところも同様の傾向あり。

NG行動⑤顧客の真のニーズを理解できない

顧客に対して表面的な対応に終始し、本当のニーズを理解しようとしない。幹部としては「そこはもうちょっと深掘りしないといけないんじゃない?」「対応がズレてるのでは?」と感じる(小島注:駐在員や本社には「だったらその時に言ってよ」と思われそうだが、こういう話は上の者から引き出さないと出てこないもの)。

NG行動⑥中国市場の競争の激しさへの理解が不十分

中国の競争は激しさを極めている。全員が倒れて勝者がいなくなるまで徹底的に争い続けることもある。こんな状態は長く続かないとはいえ、日本側から受注拡大や利益確保などに関する指示を出すなら、中国特有の事業環境や競争環境は理解すべき。理解しても対応するのは簡単ではないが……。

NG行動⑦「日本式の管理を認めない風潮」に気づかない

中国では日本式の管理手法を認めない風潮が強まっている。政治的な意味ではなく、EV・ドローン・AI・ロボットなど最先端の領域で中国が世界をリードするようになったため、中国流に対する自負心が高まったことが理由。

そんな風潮に気づかず、いつまでも上から(あるいは斜め上から)目線で日本式の管理を押し付けても、現場の社員たちにはそっぽを向かれる。実際の管理手法の優劣とは関係ない部分で「日本式は古い」という風潮が厳然と存在していることが理解できないようだ。いまの中国で日本のやり方を貫くには、現地社員が腹落ちできる説明が必要。「うちは日本企業だから」では誰もついてこない。

NG行動⑧中国市場のニーズに合わせる改善を本社に促そうとしない

現地からの情報なしに本社が中国のニーズを理解するのは難しい。駐在員は現地から上がってきた声を本社につなぐ役目のはずだが、現場で「このままでは中国で売れない」「このやり方は中国には合っていない」という意見が出ても本社に届けない。駐在員も同じ実感があるはずなのに、本社に改善を促そうとしない。

NG行動⑨新たな中国式の成功が経営や製品に与える衝撃に対処できない

中国ではAIやロボットをどんどん利用して、時間・コスト・プロセスをものすごく短縮する動きが進んでいる。中国勢の競争力が高まり、スピード・コストなどに日系がついていけない状況になった時、すぐ対処できず後手を踏んでしまう。トップは現地・現物・現実を見据え、自社のビジネスへの影響や自分たちがすべきことを考えて合理的で有効な手を打たなければならないのに、できていない。

NG行動⑩本社の駐在員選定に問題がある(多数)

ほぼ全員から上がった意見。本社が送り込んでくる駐在員では、現在の中国市場や中国事業の課題解決はできない。そもそも本社は現地の課題を明確に認識し、その課題の解決ができる人材という基準で選任しているのだろうか。目先の業務や日常オペレーションを回せばいいからと、とりあえず送れる人を順繰りに送っているのでは?

NG行動⑪3〜5年で交代するため方針の一貫性に欠ける

日本側の事情もあるだろうから駐在員が3〜5年で交代するのをやめろとは言わないが、方針の一貫性を維持しにくいという前提で現地の経営方針を立て、ちゃんとタスキをつないでほしい。その時その時の駐在員に任せきりで、会社としての芯が通っていない。

NG行動⑫短任期だからと大きな変革に踏み切らない

失敗した時のリスクを気にして、任期中に何もしない駐在員が多すぎる。現状維持で改革をしなかったために垂れ流すコストや生存機会の減少には、誰も責任を取らなくていいことになっているらしい。だったら多大なコストをかけて駐在員を置いておく意味があるのかと、不満に思う若手もいる。

拠点経営の本気度が問われている

「はい、おっしゃる通りです……」と下を向くしかないような、耳の痛い話が続きました。洞察の鋭さに驚いた人もいるのではないでしょうか。

私は彼らの話を聞いて、日本企業の拠点経営の本気度が問われていると感じました。

答えてくれた中国人管理職たちは、日本企業をバカにしているわけでも、絶望しているわけでもありません。

「もともと日本企業はこんなもんじゃなかったですよね」
「本気でやったらやれますよね」
「だから日系を選んで入ったんですよ」
「これまで10、20年と勤め上げてきたんです」
「いまの日本企業は、大丈夫ですか?」

こうした思いが、寄せられた言葉の端々から滲んでいます。これが日本企業で働く中国人管理職たちの見方であり、可能なら駐在員や本社に届けたい本音だと思います。

今日のひと言

現実が見えているか、勝ち抜く気があるか?

「本社の皆さん、現地の現実が見えていますか。見ないふりをしてませんか。本気で勝ち抜く気があるんですか」。

いま、私たちは現地拠点からこう問われています。

そろそろ真剣にやっている姿を見せないと、現地社員たちの方が日本側より目線も課題意識も上だ、むしろ駐在員や本社が現地の発展を阻害していると認めざるを得ない状況になるかもしれません。

今回の話が、駐在員だけではなく日本側の関係者や役員にも届くことを切に願います。

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この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。