コラム

08. 上海中心主義の罠

2019年05月07日
人事労務は海外経営の基礎

昔よく「上海が中国なら他の都市は中国にあらず。他の都市が中国なら上海は中国にあらず」という言葉を聞きました。上海の人は自負を込めて、上海以外の人はやっかみ半分・批判(自意識過剰だ)半分で使っていたように感じます。

もちろん、使う方も誇張表現と理解して、冗談交じり使っていたでしょうが、ビジネスにおいては、この言葉を真実と受け止めて置いた方がよいかもしれません。実際、この言葉を噛みしめずに多拠点展開して失敗したり苦しんだりした実例を、よく聞かされます。

□上海での順調な事業立ち上げ経験を活かして、同じように他都市で立ち上げたら大失敗。黒字化も見えず四苦八苦している。

□他エリア進出で上海のメンバーを立ち上げ要員として送り込んだが、最初の政府交渉からつまずいて思うように進まない。メンタル面で変調を来す社員まで出てしまった。

なぜこのような事態が生じるかというと、上海のビジネス環境が他よりも圧倒的に成熟しているからです。

日本人が日本や他国のビジネス感覚を持ち込んでも、上海の行政や仕事人には、ある程度通用してしまう。だから上海が初めての中国経験という人は、「中国は大変ってさんざん聞かされてたけれど、けっこう行けるやん」と手応えを感じる。そして、上海での経験と自信を踏まえて他エリアに進出し、あり得ないことの連続に衝撃を受け挫折する……。

成功体験があるだけに、経験ゼロの場合よりダメージが深くなります。

2018.11 BizChina誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。