コラム
仕事がつまらん。どうする?4回転職した社長の本音
今の仕事がイヤでたまらないと感じる若い人へ。実は私も仕事内容に納得できず4回も転職した人間です。そんな経験から見えてきたことを、仕事に悩む人たちへのエールとして送ります。
毎週水曜に配信するYouTube動画のテキストバージョンです。
小島のnoteをこちらに転載しています。───────────────────────
私の仕事遍歴
私は1社目4年弱、2社目9か月、3社目9か月、4社目3年強で辞め、日本を飛び出しました。まずはその辺りの遍歴をお話ししましょう。
1社目。関西志向で学校を選んだ私は、仕事でも大阪本社の会社を選びました。営業だけは自分には無理と思っていたので、希望部署も営業を外して第三希望まで提出。結果、配属は東京の営業部でした……。初っ端から二重の挫折。やりたいことどころか、最も避けたかった仕事をあてがわれてしまいました。
2社目。営業担当として中小企業の経営者と話すうち、コンサルタントを志すように。ここのコンサル部門のコンサル職に応募して採用されました。ところが入社当日に自分の配属先を見ると、なぜか全然違う部署……。中途採用でこれは詐欺のようなものです。最初から不信感を持っていた私は早期に見切りをつけました。
3社目。コンサル系のベンチャーなら2社目の失敗はないだろうと選択。ところが若い組織で規律も自律も未熟。午前のプロジェクト会合にある部長が出てこない。電話もつながらないのでいったん解散。夕方になって「おはよーっす」とやってくる。管理職がこんな感覚なので「ここはダメだ」と飛び出しました。
4社目。過去の失敗経験を踏まえて、今度はしっかりしたバックグラウンドの経営コンサルティング会社に。ここではしっかり鍛えてもらいました。経営に挑戦したくて海外に出た後も、この会社には非常に感謝していて、当時のボスや先輩とは今も連絡を取り合っています。
この遍歴からお分かりの通り、私も「納得できない」とか「こんなはずじゃなかった」という理由で会社を移ってきました。
日本で転職4回は少ない方ではないと思います(特に90年代からの仕事人としては)。それだけ納得できずに仕事を変えたという面もありますし、もう一つには、これだけ高頻度で転職しても次の仕事を選択して確保できたという面もあります。そして最後(現在)の仕事は私の天職となり、すでに21年目に入りました。
こういう自分の仕事経験から、今の仕事が「合わない」「納得できない」と感じる皆さんに、私はどう向き合い、どう対処してきたかを紹介したいと思います。偉そうに語れる立場ではないものの、仕事がつまらないと悩んでいる人たちに寄り添うくらいはできるかもしれません。
仕事内容がつまらん…私の対処法
対処法①いきなり「主役やらせろ」は無理
つまらない仕事だなと感じた時は、「いきなり主役をやらせろって、そりゃ無理だよね」と客観的な現実を直視する。
サッカーでもバスケでも、チームに加入してすぐボールが回ってくることはない。過去に別のチームで結果を出してきた人でも難しいんだから、ペーペーの新人には回ってこなくて当たり前。ここで不貞腐れてもしょうがない、と。
ボールを出す立場でもそうですよね。まだ実力も知らないし、安心して預けられるかも分からない。そもそもどんな人かも分からない新入りに不用意にボールを出したりしません。
仕事だって、入社してすぐにプロジェクトマネージャーにはなれない。経験ゼロで「私はマネジメントがしたいです!」「プロジェクトを主導します!」と言ったって、「いやいや、もう少し経験積んでからにしてよね」と言われるのがオチです。
例外もあります。完全に新人離れした超新星や、他社を渡り歩いてきた凄腕のベテランは、加入直後に抜擢されることも。でも、これって結局、実力で認められた結果です。コネや運ではなく、この人ならすぐ結果を出せる、新人扱いしちゃ失礼だということで、特別扱い(というか正当な扱い)を受けている。
自分だって何度も実力を示しているのに不当に低く評価されているなら、その職場には縁がないと考えましょう。でも、そうでなければ「いきなり主役なんて回ってこない」と冷静に見ておきます。
対処法②対価をもらう仕事がつまらないのは当たり前
「対価が発生する仕事なんだから、つまらないのは当たり前」。これは駆け出し時代に本を読んで衝撃を受けた突っ込みです。
会社は給料を払う立場なんだから、自分は会社の要求や指示に応えるのが当たり前。会社はお客から対価をもらっているんだから、お客の課題解決や満足のために貢献して当たり前。これは至極当然の話です。
対価や給料をもらいながら、やりがいや楽しさや心地よさも与えろ(客や会社ではなく自分に与えろ)というのでは、言わば二重取り。
自己意志で、報酬や対価を得ずに取り組んでいるボランティアのような活動なら、やりがいや醍醐味を追求するのもいい。しかし、仕事は違います。受け取った対価に見合う働きを提供しなければならない。まずは対価分の仕事を果たす、それから要望や不満を出す。これをクリアできない人は、仕事人としての入口に立てていないと思います。
ただ、「給料をもらってるんだから、つまらない仕事でも我慢しろ」ということではありません。
考えてみてください。お客さんでも経営者でも、わざわざ自分に対価を払って何かを任せているわけです。
つまり、その仕事は無価値ではなく、少なくとも対価を払うだけの価値があると思っている人がいる。本当に無価値な仕事だったら、誰も対価を払ったりしません。そこで自分の仕事が必要とされていることは見失わないでください。
対価を受け取っている間は、それ相応の仕事はする。ただ、それを続けるかどうかは自分が決めればいい。そう考えて、在職中は自分の仕事に責任感を持って取り組んでいました(誰かに怒り狂うことはあっても)。
対処法③野望を持って仕事に意味づけを
筋トレとか、反復ダッシュとか、書道やソロバンの基礎とか、日々の反復練習ってどれも楽しいものじゃないですよね。最初は新鮮でも、1年も2年も繰り返していれば飽きます。どんな偉大な選手・アーティストでも、たぶん同じだと思います。
地味な反復練習を続けられるのは、何のためにそれをやっているのか、目的を自覚しているから。練習の先にどうなりたいのか、自分が目指す姿とつながっていれば、前向きに取り組むことができます。楽しめるかどうかは別にしても。
私もダイエット目的で筋トレをやってますが、誰かから「ちょっと引き締まったよね」と言われたとか、体脂肪率が落ちてきたとか、鏡に映る自分が前よりイケてるとか、そういうことがあるだけで、地味な反復に意味を感じられて、継続する力になります。
仕事も同じ。将来的な野望を持つと、つまらない仕事にも意味が生まれます。今の仕事や会社の枠を超えた、仕事人としての野望・野心・大きな目標、何でもかまいません。それと目の前の仕事がつながっているという感覚を持てれば、「これはこれで自分の人生にとって大事なプロセスだ」と思えます。
そして、そうやって反復していると、自分の成長を感じられるようになります(成長の結果、次の挑戦目標が出てきて仕事を変えるのは前向きな卒業)。
転職の条件とは
私はこれで転職した
思い返せば、私の転職理由は「挑戦したいことがある」か、「このままではダメだ」のどちらかでした。
1社目では、営業で地方の事務機器店や文具店を回るうちに、「この人たちの経営を何とかしないと売り先がなくなるのでは?」と思ったことがきっかけです。「経営を何とかする仕事って何だろう?」から、経営コンサルタントという仕事を知り、中小企業診断士の存在も知り、それを目指すために辞めました。
2社目は入社時からだまされていて、3社目は自分の成長につながらないということで見切りをつけ、4社目でやっとやりたかった仕事に就けました。そこでコンサルタントとして真剣に働くうちに、自分がやっていることがどこまで経営の役に立っているのか確かめたいという欲が出てきた。それで経営をやらせてくれるところを探していたら、たまたま天津の合弁会社の話がきて、現在に至ります。
「考え方を変えて頑張る」も大事だけれど
このように動いてきた人生なので、仕事がつまらないという人に「考え方を変えてもう少し頑張ろうよ」で終わりにはしたくないな、と思っています。もう少し突っ込んで考えてみましょう。
自分に与えられた役割はつまらないけど、会社の事業や先輩たちがやっている仕事は面白そうなら、いきなり転職を考えるより、まず目の前の仕事に集中するのは悪くない選択です。
腰を据えて取り組んでみて、この会社で認められるかどうか、認められた後にどんな仕事を任されるか、見てみてもいいと思います。知らず知らずのうちに実力がついて視野が広がり、同じ会社の中でやりたい仕事に出会えることもあります。
会社も仕事もイヤなんだけど、将来的に叶えたい野望があって、今の仕事や会社がその助けにはなりそうなら、鍛錬の機会として利用したらどうでしょう。野望にチャレンジできる自分になるまで、そこで成長させてもらえばいい。
業務はつまらないけど待遇はそこそこで、若いうちは稼ぎを優先しようと思えるのであれば、とりあえず仕事を楽しむことは忘れて、基盤を固めていくこともできます。将来やりたいことを実現するための資金を得るには割りのいい仕事だと考えてもいい。よりよい環境が見つかれば、そちらに移るのもいいでしょう。
いずれにしても、何も考えず、何のアクションを起こさずに、ストレスとマイナスな感情だけを抱いて悶々としながら半年も1年も2年も過ごすのは人生の無駄。ただくすぶっているだけでは何も変わりません。
転職には一つだけ縛りを…「惜しまれて去る」
最後に一つ補足します。私は1社目の先輩から「小島、辞めグセだけはつけるなよ」と言われるくらい転職を繰り返しましたが、たった一つだけ、自分に縛りをかけていました。それは、居場所がなくなって辞めるのではなく、何らかの形で「惜しまれて自ら去る」ようにするということです。
単純に自分のプライドと美意識の問題です。縁あって勤めた以上は、「すごいヤツだったな」「ウチに収まる器じゃなかったよ」と思われて辞めたい。自分に言い訳しながら仕事の手を抜いたり、後足で砂をかけるようにして去るのはイヤだったので、そこは意識して頑張りました。
9か月で辞めた会社が2社もあるし、みんなからどう思われたかは分かりません。ただ、辞める時に残念がってくれた上司や先輩もいて、どの会社でも後ろ指をさされずに堂々と正面から出てくることができました。
今の仕事がつまらないとしても、だから一人前の仕事をしない、あるいはやっつけ仕事ですませてしまうのは、ちょっと違うんじゃないかなと思います。私はこの縛りのおかげで、後ろめたさを感じずに過去を振り返ることが(こうやってネタにすることも)できています。
今日のひと言
自分を変えるか、環境を変えるか
今の仕事がイヤでたまらないなら、自分か環境、どちらかは変えませんか。両方変えずにずっと腐っているのは、自分にも周りの人にもマイナスです。
2025.05.19 note
https://note.com/daocrew/n/ncb395d2cedba
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この記事を書いた人

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。