コラム
地方都市ほど危ない…その専門家は本当に「会社の味方」なのか【中国駐在】

周囲に日系企業・外資系企業があまりない、中国の地方都市に拠点を構える企業向けの話。いま使っている外部専門家(例えば地元の弁護士)を見つけてきたのは誰ですか。契約を締結・更新しているのは誰ですか。彼らに直接相談・質問をしているのは誰ですか……。もし専門家に対して「確かに自社の利益を守ってくれている」という実感がなかったら読んでみてください。
小島のnoteをこちらに転載しています。
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中国は広い…地方都市でありがちなこと
日系企業の少ない地方小都市での不満
今日の話は、日系企業・外資系企業があまりない地方小都市の状況を前提にしています。日本語の堪能な専門家がたくさんいる沿岸部の大都市には関係のない話。地方都市に進出していても、日本側で信頼できる専門家を確保しているならこの先を読む必要はありません。
さて、こういった専門家がいない地方の拠点では、こんな不満がよく聞かれます。
①相談はいつも現地社員経由
駐在員や本社側が会計士・弁護士に何か質問する時は、常に管理部や人事部などを経由して。相手の顔が見えないし、見えても言葉が通じないのでコミュニケーションが取れない。
②回答・助言が簡単すぎる
問い合わせにに対して「大丈夫です」「法律上は問題ありません」「法律上それはできません」とワンフレーズしか返ってこない。
答えがシンプル・淡白すぎて、「以前はできたのに、なぜ今はできないのか」「日本やアメリカではできるはずだが、なぜ中国ではできないのか」など多少掘り下げて聞くためには何回もキャッチボールを重ねる必要があり、まどろっこしい。こちらがボールを投げても何も出てこないことも。
③回答・助言がピンとこない
「いや、そのことを聞いたんじゃないんだけど」「原則論は分かっているが、自分が耳にした話ではそうとも限らない感じだから質問したんだけれど」……自分が聞きたいことを的確に汲み取ってくれず、すっきりしないやりとりが続く。
④回答・助言できない
そもそも国際企業の質問や相談に対応した経験がなく、対応できる部隊もないような会計事務所に、駐在員の所得税やビザの問題を聞いても分からない。他エリアの日系企業の状況や前例が知りたくても、日系のクライアントがいない弁護士事務所には答えられない。
回答・助言する能力がないだけでなく、それが自分たちの仕事の一部だと考えていないローカル事務所も少なくない。
⑤えーと…誰目線?
弁護士に対して「今回クビにした幹部の肩を持ってない?」と感じたり、会計事務所に対して「税務局側に立ってない?」と思ったりすることも。
お金を払って契約しているのは会社。こっちは会社を代表して質問しているのに、会社目線ではない回答が返ってくると、プロとしてどうなの?と不信を感じてしまう。
まだまだこんなことも…地方都市での実例
契約している専門家の黒い噂を耳にすることもあります。「不正行為で辞めさせた元社員と今でもつながりがあるらしい」「元幹部と組んで別のビジネスを手がけている」「他社で背任行為をやらかしたことがあるらしい」など。まさか本人に確かめるわけにもいかず、契約を続けて大丈夫なのか不安になります。
最も頼りにすべきシーンで裏切られることもあります。不正行為で管理責任者をクビにしたら会社が労働仲裁に訴えられ、顧問弁護士に対応を依頼。この弁護士はもともと原告が懇意にしていた人で、対応が淡白。大丈夫か…と思っていたらまさかの会社敗訴。「もしや相手とつながっているのでは」とモヤモヤしていたところ、一審を準備している途中で突然「下ります」の通告。まったく会社側に立っていなかったことが露見した、という事例もありました。
あと、困っているから相談しているのに「法律上はできない」の一点張りで、議論が平行線になる専門家、結構います。私たちもさんざんバトルしてきました。埒が明かないので「法的リスクがあることは理解したが、現在の経営状況を考えると放置はできない。先生ならどうしますか」と詰め寄ったところ、「私には分からない」と開き直られたこともあります。
なぜこうなるのか、背景を考える
専門家の心理
こちらを不安にさせるだけでなく、実際に会社の利益を守っていない専門家は確かにいます。しかし冷静に見ていくと、専門家側にもやむを得ない事情があるようです。
まず、自分を推薦してくれたのは誰かを考えなければなりません。現任の駐在員ではないですよね。専門家自身は日本語ができず、日系クライアントもいない事務所なら、日本本社からの依頼でもないと思います。となると、現地社員の誰かが推薦したはず。専門家としても、この人には恩があることになります。
専門家との窓口を現地社員たちがやっていると、駐在員は直接やりとりすることもなく、代替候補を出す機会もありません。実質的に契約更新の鍵を握るのは現地社員です(最後に印鑑を押すのは日本人かもしれませんが)。
自分を推薦してくれて普段から実務上の付き合いのある人たちと、後からやってきて数年で帰任するであろう駐在員。利害が対立している時、どっちの肩を持った方が得かと考えると、まぁそうだよねという結論になります。
また、今の駐在員が強い覚悟を持って改革に邁進しようとしていても、どうせ数年で帰任する。社内が不満を持つような改革に協力して、後任に全然違うタイプの赴任者(弱い人)が来たらどうなるか。改革は棚上げになり、自分はハシゴを外されて契約を切られる。心情的には駐在員に協力したくても、その人の帰任後のことも考えざるを得ない立場も想像はできます。
駐在員・経営者の心理
駐在員の側にも同じように、不安やモヤモヤを抱えつつ、現状を変えるまでには至らない事情があります。
「選択肢が他にない」。地方都市特有の現象です。上海や北京など大都市だったら、日本語堪能な先生が多く、日本人の専門家や窓口担当もいる。自分で直接出かけて行って話を聞けるので、いくらでも比較検討できる。しかし、そうではないエリアで、言葉の制約もある中で他の候補を探すのは難しいです。
運よく新しい専門家を見つけたとしても、結局は中国語のやりとりになって現地社員を通さなければならないと考えると、しょうがないと諦めてしまいがちです。
また、変えたら現場が文句を言うかもしれないと思うと、やはり二の足を踏んでしまいます。いちいち対応するのも面倒だし、不満を抱かれてサボタージュされても厄介です。
そんな中で入れ替えを断行し、外から連れてきた専門家が本当に機能するのかという問題もあります。大差ないならリスクを取る意味がないです。
解決策は?
DAC(私の会社)を使ってください!
今日のひと言
検証してみてください
「は? それで終わり?」と思われたかもしれませんが、強すぎる自社愛を差し引いても、この課題はDACが解決できます。特に地方都市の小拠点に対しては、割と真面目にそうお伝えしています。
ここまで見てきた「専門家にモヤモヤしても入れ替えできない背景・要因」について、じゃあDACを使ったら解決できるのか、ひとつひとつ検証してみてください。すべてつぶせるならDACは機能します。
……と自社プッシュしましたが、もちろん、同じような立ち位置の専門家が近くにいれば、選択肢に入れて、遠慮なく比べてみる方がいいです。
比べ方も二つ挙げておきます。
①現在契約している専門家で納得できなかった回答があれば、それを切換先候補の専門家たちに質問してみる。
②会合を設けて経営課題(具体的な話より、むしろ曖昧な話)をぶつけ、相手の引出しの多さやコメントの納得度を確認する。
本当に頼りにできて、地方小都市も対応可能であり、専門家としての機能を果たすことができる人たちを引っ張ってくる方が、モヤモヤしながら付き合いを続けて、いざという時に会社の利益を守ってくれなかった、となるより、ずっといいんじゃないかと思います。
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この記事を書いた人
多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。