コラム

なぜ「いい人」ほどマネジメントに失敗するのか

2026年09月28日
中国駐在…変化への適応さもなくば健全な撤退

見出し画像

いわゆる「いい人」がマネージャーのチームは、かえっていろいろなトラブルを抱えていることが多かったりします。なぜいい人がうまく組織をマネジメントできないのか、考えてみたいと思います。

毎週水曜に配信するYouTube動画のテキストバージョンです。
小島のnoteをこちらに転載しています。

───────────────────────

「いい人」管理職はなぜダメなのか

「いい人」=○○○○○○な人

成長した元部下が昔の上司を振り返って、「あの人は鬼。めちゃめちゃ鍛えられた」「おっかない人じゃないんだけど、仕事には厳しかったな」と語ることがあります。一方で「いい人だった」と評される上司もいます。この場合の「いい人」は、性格の話ではないと思います。

自分は「いい人」な上司に出会って伸びた、と振り返る人は、私の30年の仕事人生ではあまり見たことがありません。

上司にしても同僚にしても、一通り話をした後、「いい人だけどね」と付け加えること、ありますよね。仕事において、この言葉の裏には必ずと言っていいほど「仕事はできない人」「結果は出せない人」「頼りにならない人」などが隠れています。

私などは人物評で「いい人」と聞くと、「有能ではない」と脳内変換して理解しています。

「いい人」が管理職になるとダメな理由

では、なぜ「いい人」ではダメなのか、理由を挙げていきます。

①部下に利用される
ずるい部下たちは、いい人が「NO」と言えないことにつけ込み、勝手なことをやり出します。

②真面目な部下が損をする
すると真面目な部下が疲弊して、「ちょっと勘弁してほしいんだけど」と思い始めます。

③ダメ出しできない
なのに、「いい人」上司はダメ出しができません。その結果、声が大きい人やワガママな人に押し切られてしまいます。真面目な人たちがそれをカバーしなければならなくなり、どんどん苦しくなっていきます。

④部下以外からも利用される
いい人を利用しようとするのは部下だけではありません。他部署の人、上司、外部の関係者など大勢います。いい人は断り切れず、あれこれと役割を引き受けてきてしまいます。

⑤自部署の部下が損をする
上司がいろいろな役割に追われているため、自部署の部下たちにしわ寄せがきます。

⑥それでも拒否できない
そうなっても強く言えないので、状況が深刻化していきます。

⑦部下が伸びない
もともと部下には伸びしろや潜在力がありますが、現状の否定やダメ出しなしには伸びません。

筋トレは、余裕を持ってできるトレーニングだけでは効果がなく、ギリギリできるかできないかの負荷をかけることで鍛えられていきますよね。仕事も同じです。

100の力を持つ人に200を求めればつぶれてしまいます。でも、105、110の仕事であれば、やってみたら思ったよりできることもあります。いったん110ができると、次に110、115の仕事が来ても普通に受けられるようになります。

それには、仕事の質・速度・量などの面で「ちょっとだけ上げてみて」「あと少し足りないぞ」と部下をコンフォートゾーンから引き出すことが必要なのですが、「いい人」上司はこの現状否定が苦手。このため、部下は成長する機会が与えられず、潜在力を発揮することができません。

いい人は部下の成長に本気ではない

掘り下げて考えてみると、「いい人」上司は部下の成長に本気ではないと言えます。

繰り返しますが、この「いい人」は性格ではありません。もともと優しい性格の人や、おっとりしている人、相手に厳しいことを言うのが苦手な人でも、元来の性格や自分の気持ちを抑えて、部下に高い要求をしている上司もいます。

恨まれるかもしれないけれど、部下の成長を応援するために、損な役回りを引き受けているわけですね。こういう上司は「いい人」とは言われません。「穏やかだけど、仕事には厳しい」と評されます。

「いい人」だと言われる上司は、自分の性格や気持ちを、部下との関係よりも優先しています。あるいは仕事にそこまで自分を投入しなくてもいいと思っている。部下の成長を本気で考えるなら、「いい人」を何らかの形で否定して、管理職の役割を引き受けるべきです。

今日のひと言

上司は「いい人」と言われて喜んでいてはいけない

「いい人ですね」と言われて「いやあ、そんなことないですよ」と照れている場合ではありません。「部下を伸ばすことができない人」と思われているという認識を、本人も周りの人も持ってほしいと思います。

経営者目線のディープな話をほぼ毎日配信中

中国事業の最前線から、ビジネスに関する時事ネタや
情報・裏話などを無料でお届けしています。

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。