コラム

13. 社員は本気の半分しか出していない

2019年07月16日
人事労務は海外経営の基礎

前回、清算した会社の従業員の衝撃的な打ち明け話を紹介しました。平日は正味半分ぐらいの時間で仕事をし、残りは割のいい土日残業で片付けるという話です。

もう一つ例を挙げます。中国の管理者を対象とした研修で、私がいつも質問することがあります。「それぞれが全力で仕事に取り組むパワーを10として、ダメな会社・普通の会社・よい会社で分けると、それぞれどれくらいのパワーで仕事をしている感じでしょう。皆さんの感覚で教えてください(前提として、ほとんどの皆さんは、自分の会社を「普通」だと思っている)」。

答えは毎回ばらつきがなく、ダメな会社が2〜3、よい会社が7〜8、そして普通の会社が 4〜6です。普通の会社(≒自分の会社)は全力の半分程度で仕事をしているという認識を持っているわけです。

 さて、ここまで読んでどう感じますか。「まぁ中国ではそんなもんだよね」「まさか、半分とはね」「これだから中国人は」「もっと引き締めないといかんな」……いろいろな思いがよぎりますが、ここはぜひ前向きに捉えたいと思います。

「この組織規模で少なくとも倍の力を発揮できる潜在力がある」「どうやったら彼らに火がつき10の力を発揮するか」「10を超える力を発揮するチームをつくれないか」。私がこの稿で書きたいのは、コストダウンの仕方ではなく費用対効果の高め方です。30〜50%余分に人件費を払うなら、価値あることに払うべきです。

2019.04 BizChina誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。