コラム

時代変化に適応する駐在員…直接対話のススメ4

2021年02月22日
日本流が通用しない時代の組織経営

今年はいったいどう過ぎていくのか。このJINだってコラムだって果たして出し続けることができるのか……。先の見えない状態で書き続けてきたこのコラムでしたが、幸いにして12月号の執筆までやってきました。読者の皆さん、広告出稿者の皆さん、発行元・編集部の皆さん、弊社の関連スタッフ、皆さん、お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。

このコラムを誌面で読んでいるのは、中国現地にいらっしゃる皆さんだと思います。一時帰国もままならない中、現地の最前線に留まり続けるプレッシャーは、自覚されている以上に大変なものがあると思います。中国に限りませんが、「コロナ特殊手当」や一時金で本社が応援すべき状況なのではないかと思います(すでに実施されている企業もあると伺います)。コラム執筆者の見解ということで、本社にこのコラムの電子版でも送っておいてください♪

さて、来年がどうなるのかですが、さっぱり予想がつきません。本当のことを言うと、あまりに変化が大きすぎ、その変化に適応しようと必死にフル回転してきたため、自分の頭が真剣な予想をストライキしている感じがあります。さすがに特殊状況の中、走り続けてきた反動が出ているのかもしれません。経営者としてのいまの私のスタンスは、「中長期のビジョン・挑戦目標を抱きつつ、どんな変化が生じても即応できる心の準備をしつつ、来年の取り組み課題を一つずつ進めていく」。どこでどんな変化が生じるか分からないため、足下のボールではなく、常に顔を上げて周囲を見ながら次のプレーを考えるイメージでいます。皆さんは、来年に向けてどんな風に準備していますか。

現地で相互信頼・尊敬に至るための重要なポイントとして「直接対話」を勧めていました。五年間で中国語の単語を五つしかマスターしなかった総経理でも存分に直接対話を試み、社員の信頼を勝ち得ていましたので、語学センスや外国語力は問いません。では、実際の直接対話のやり方をみていきましょう。

日本人にしか使えない 直接対話の武器がある

実は、世界でも日本人にしか使えない中国での直接対話の強力な武器が存在します。それが「筆談」。日本人は世界でも稀少な漢字の使い手です。中国で用いられる簡体字・繁体字とは若干異なるものの、中国の人は日本人の書く漢字がほぼ理解・推測できる。そして、漢字二字熟語は意味がほとんど通じる。例えば、この段落に出てきた二字熟語だけでも、「世界」「日本」「中国」「直接」「対話」「強力」「武器」「存在」「稀少」「漢字」「理解」……。全く同じ用法ではなくても、ほとんど意味が通じます。

これに数字とアルファベットを組み合わせれば、品番や型番などの社内用語も見て分かる。中国語の語順が分からなくたって、二字熟語を重ねながら「OK?」とか「明白(ミンバイ)?」と聞いていけば、相手から意味のある反応を得られるはずです。「緊急 会議 課長 全員 集合 16:30」とか「営業 提案 資料 必須 完成 12/10」みたいな書き方でも、相当数の中国人社員は意味を理解するでしょう。

漢字なんて複雑で膨大な数の図形を覚えるのは外国人には無理。日本人だけは、着いたその日から書いて直接対話できるのです。

駐在員が求められる役割を発揮するために必要なこと

①脱落しない
②バカにされない
③親近感を持たれる
④信頼・尊敬される
⑤後任者にしっかりつなぐ

●相互信頼・尊敬のために

□リーダーの実力を示す
□現場に寄り添う
□一罰百戒を使いこなす
□大義名分に本気を見せる
□直接対話する

2020.12 Jin誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。