コラム

時代変化に適応する駐在員…直接対話のススメ3

2021年01月22日
日本流が通用しない時代の組織経営

青島など局所的・一時的な緊張が走ることはあるものの、中国は全体として比較的落ち着いた秋でしたね。国慶節は人の往来がかなり戻ったので、その後を心配していました。欧州では夏のバカンスシーズンにコロナ対策を緩和した結果、新規感染者が激増。第一波ピーク時の約四倍だそうですから、大変なことになっていますし。

国慶節を普段通りに過ごした中国、Go Toで人の活動を促した日本、どちらも欧州のようにはならず落ち着いた状況にあり、両国の往来も次の段階が動き出しました。中長期の滞在者だけでなく短期のビジネス滞在も再開へ。さらに次の段階が旅行客も含む短期滞在の再開でしょうから、まだこれから折り返し地点に向かうところと言えます。コロナウイルスが活性化・流行しやすい冬にどうなるかで、とくにアジア域内の往来再開スピードが決まるでしょう。果たして2021年は東京オリンピックを開催できるのか、インバウンド客は戻ってくるのか(それより前に、私や社員は日中を往来できるようになっているのか)。正念場の冬季を迎えます。

今回も直接対話のススメを続けます。これは本当にお勧めしたいというか、直接対話を避けたり面倒くさがったりする人に現地リーダーの資格はないとさえ思っていますので、サボってきた方はちゃんと読んでください(サボってきた人が近くにいる場合は、このコラムを目の届くところに置いておいてください)。直接対話が大切なことは、中国だけでなく世界中どこでも同じですので、ブラジルに行こうが、コートジボワールに行こうが、トルクメニスタンに行こうが、実践してくださいね。私も将来、言葉の通じない国で生活・仕事する機会が出てきたら、やはり直接対話は大事にします。これは異文化交流の醍醐味でもあると思っていますので♪

直接対話には語学力も語学センスも不要

直接対話に英語力や現地語力や語学センスは不要です。自分の能力やセンスを理由に尻込みする必要はまったくありません。絶好の例が前回実例として紹介した総経理。この方は中国語学習という観点では「真っ赤っかの赤点」でした。常々「俺は中国語はアカン。無理。ニーハオ、ザイヂェン、シェシェ、ピージュ、ピャオリャンの五つしかできん!」と宣言し、有言実行?していました。五年以上常駐していてコレですので、もっとセンスや学習力がないという方はそうそういないでしょう(この総経理には失礼な言い方ですが、笑って許してもらえると思います)。繰り返しますが、直接対話に語学センスは不要です。

「気楽にそんなこと言うけど、さっぱり通じなかったら、直接対話にならんやろ」と思われた皆さん、思い出してください。このコラムで直接対話のススメを持ち出した話の流れを。駐在員として「相互信頼・尊敬に至るため」に必要なことを挙げている一環でしたよね。部下管理のためとか、日常業務の指示・報告のためではありません。彼らとの距離を縮め、信頼感を深めるのがここで言う直接対話の目的です。極論すれば、この目的に有効であれば、「意味が通じなくてもいい」と思います。意味がまったく通じないまま何年間も直接対話を続けるのも大変ですが、普通は10%くらい理解できるようになりますよね。

駐在員が求められる役割を発揮するために必要なこと

①脱落しない
②バカにされない
③親近感を持たれる
④信頼・尊敬される
⑤後任者にしっかりつなぐ

●相互信頼・尊敬のために
□リーダーの実力を示す
□現場に寄り添う
□一罰百戒を使いこなす
□大義名分に本気を見せる
□直接対話する

2020.11 Jin誌

 

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。