コラム

17. 「経験の交差」を理解しておく

2019年09月11日
人事労務は海外経営の基礎

設立から15年以上経過した現地法人では、現地の部下が新任駐在員より年上というケースが出てきます。また、管理者としてまとめてきた部下の数で逆転が起こったりもします(特に製造や営業部門)。

私は、この逆転を「経験の交差」と呼んでいます。重要なのは、本当に経験量や熟練度が逆転したかどうかではなく、当の本人がそう感じているかどうかです。

日本人駐在員の方は、だんだん赴任時点の年齢が下がる傾向にあり、未経験部署の管理者として赴任する場合もあります。一方、現地のベテラン社員たちは、自社で経験を重ねてきたわけで、それなりの自負や自信を持っています。そうすると、ある時期から、現地の部下が「上から目線」で新任上司を迎えるようになります。「今度来る小島ってウチで扱っている自動化ラインの経験ないんでしょ。チームリーダーで部下が10人ぐらいだっけ。こっちはオレの部下だけで300人いるぜ。またゼロから面倒見なきゃいけないのかよ……」。

しかし、新任駐在員の方は、経験浅であればあるほど、いままでの経験職位よりも高い職位で赴任すればするほど、気負いながらやってきます。「統括部長職を拝命したからには、ビシッと引き締めていかなければ」。

ここに悲劇が生まれます。面倒を見るつもりで新任者を待ち構える部下(部門の実質的ボス)と、気負って赴任してくる若手上司。猿山のボスの座争いを繰り広げたら勝敗は残酷なほど明らか。赴任者はまずこの交差を理解して臨む必要があります。

2019.08 BizChina誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。