コラム

16. 赴任早々の「ご注進」は要注意

2019年08月27日
人事労務は海外経営の基礎

赴任早々の落とし穴をもう一つ。

最初の緊張も解けて落ち着いてきたころ、日本語を話す管理者が声をかけてきました。「小島さん、私たちは小島さんにすごく期待しています。この会社にはいろいろな問題があります。(いくつか問題の例が続く:公平の欠如に関する話が多い)小島さんのお話を聞いていて、小島さんはきっとこういう問題を解決してくれると感じました。ぜひよろしくお願いします」。

これを聞いた私が、「そうなんだ、全然知らなかった。それは問題だな……。教えてくれてありがとう。これからも気になることがあればぜひ色々教えてほしい」と真に受けて答えてしまうのは危険です。

自らこのような話を持ってくる人こそ、実は組織問題の中心人物の可能性があります。

本当に組織のことを考え、現状を憂慮している社員たちは、残念ながら赴任早々の私にこんな深い話はしません。私が信頼に足る人物か、リーダーシップを発揮して改革を完遂してくれる人物か、まだ見定めていないからです。

心ある社員が私を見定めている期間に、私がご注進社員の話を真に受けて活動し始めたり、彼らを重用しようとしたりすれば、私は心ある社員たちから「今度来た小島もこのレベルか」と溜息交じりに見切られてしまいます。

皆さんが部下たちを見定めるのと同じように、部下たちも皆さんを見定めています。問題社員に踊らされないようお気をつけください。

2019.07 BizChina誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。