コラム

時代変化に適応する駐在員···威厳のつもりが横柄に

2019年09月18日
日本流が通用しない時代の組織経営

来社いただく方はよくご存じだと思いますが、弊社の天津オフィスが入居しているのは天津市中心部の東南端にあるオフィスビル。三十二階までありますが、それほど大きなビルではなく、一階も地味(むしろ殺風景)です。

ところが最近、一階の小さな空間に突然、「即将開業 敬請期待(間もなくオープン、乞うご期待)」の大きな垂れ幕が出現しました。それも中国でスターバックスの最強ライバルとも目される「小藍杯(luckin coffee)」が出店するとのこと。目を疑いました。

そもそも、こんな小スペースに店舗を開くということ自体が想定になく意表を突かれました。次に感じたのが「商圏をどう設定しているんだろうか……」。これは疑問というよりも経営の観点からの好奇心。中国商法にありがちな、「キャッシュが潤沢なうちに、とにかく面を広げろ」の方針で、勝算を詰めずに出店を拡大しているのかもしれませんし、冷静に算盤を弾いた上で戦略的に出店しているのかもしれません。どちらなのか非常に興味深いです。

もし、後者だとすると、私が想像していたよりも深く広く中国の仕事シーンにコーヒーが浸透しているということであり、こんな地味なオフィスビルの小スペースまですでに戦端が広がってきているということでもあり、社会の変化スピードについていけていない自分を再確認する機会となります。

私としては、挽きたての珈琲が飲めるようになるし、彼らの出店戦略のレベルも検証できる。楽しみが増えそうです♪

今回の本題は、社内で親近感を持たれる工夫、「仕事には厳しいが横柄ではない」です。

威厳を演出するつもりが単なる横柄に……

一般的な傾向として、日本人は表情に乏しいというか、キツそう・厳しそうな印象を与えることが多いです(私も取っつきにくい第一印象らしいです)。多くの場合、無自覚ですし、そんなつもりはないので、相手がそんな風に感じているとは思っていません。

同じように、これも無自覚だと思うのですが、威厳を出そうとしてか、それとも日本においてはそういう社内文化だったのか、私がちょっと心配するくらい感じの悪い話し方や態度になってしまっている方に遭遇することがあります。例を挙げると、

□「お前」とか「お前たち」とか「あいつら」と呼んでしまう。
□「アカンに決まっとるだろう、何をやっとるんだ」とか「だから言っただろう!」と声を荒げる。
□相談や報告に来た部下の方を見もせず、言葉も返さず、身振り(アゴや手)で答える。

少なくとも、私が部下なら親近感は持ちません。むしろ相当「感じ悪い」と思います。そして、気をつけていただきたいのは、こういう部外者がぎょっとするような横柄な言動を取ってしまっているのは年齢が若めな人に多い、という点です。ここから考えると、企業文化や個性ではなく、威厳・権威を演出しようとして横柄になってしまっているのかもしれません。

お客さんや上司と同じように接しろとは言いませんが、相手が親しみを感じるような表情や口調になっているか、振り返ってみてくださいね。

●駐在員が求められる役割を発揮するために必要なこと
①脱落しない
②バカにされない
③親近感を持たれる
④信頼・尊敬される
⑤後任者にしっかりつなぐ

●親近感を持たれる工夫
□毎日こちらから声をかける
□中国語読みで名前を呼ぶ
□カジュアルな店で食事会
□ときどきおごられる
□部下に相談する
□人によって態度を変えない
□仕事には厳しいが横柄ではない
□身なりも言動も清潔感

2019.07 Jin誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。