コラム

時代変化に適応する駐在員…信頼・尊敬を得る必須条件

2019年10月29日
日本流が通用しない時代の組織経営

天津はそろそろ秋ですね。年初に「昨年はいろいろあった一年、今年はできれば穏やかに」とどこかで書きましたが、実際の状況は皆さんご存じの通り。歴史的に見て、世界は一つにまとまろうとする時代と、バラバラに離れようとする時代を繰り返していると言われますが、現在は、残念ながらバラバラに離れようとする動きが拡大しているようです。それが絶対によくないことだとは思いませんが、暴力や弱者の犠牲を生むようなことは避けたいです。

それに、自国や自派の利益追求に血道を上げるよりも、世界的な異常高温をもっと深刻に受け止めないとマズいのではないかという気がします。摂氏40度とか50度なんてどう考えても生物の生存を脅かす事態。子供たちの将来を考えると、鈍い私でさえ、さすがに自分も何かのアクションを取らなければという思いに囚われます。
気温に加えて、国際的や摩擦や紛争の熱でより一層暑く感じた夏の終わりに、こんなことを考えてしまいました。

本題では、これから駐在員の学習・成長が求められる時代に入る、組織を率いるリーダーが成長しないと部下の成長もあり得ない、ということで、駐在員が求められる役割を果たすために必要なことを見てきました。

①脱落しないために→②バカにされないために→③親近感を持たれるために……まで終わりましたので、今回から④信頼・尊敬されるために必要なことを考えてみましょう。

実力を示さないと信頼・尊敬は得られない

古代中国には「易姓革命」という思想がありました。これは、天子(国の統治者)とは天が己に代わって国を治めることを認めた者であり、天子が徳を失い、天が見切りをつけると、革命が起きる(起こしても構わない)という思想です。姓が易わる=一族が交代する革命ということで、こう呼ばれました。王朝が替わる際は、これを大義名分として掲げて民意を得ようとしました。実際のところは、新しい王朝を建てる者が正当性を示す根拠として使った、と言った方がいいでしょう。

ここで重要なのは、焦点となったのは血統ではなく徳(実際には実力)だったということです。リーダーは血筋や肩書きがあっても実力がなければ認められない。逆に実力があればバックグラウンドは重要視されない。これは現代にも引き継がれているリーダー像だと思います。
駐在員として赴任してきた皆さんは、現地の社員から見れば「よく分からんオッサン(兄ちゃん、姉ちゃん)」です。日本やヨーロッパでの経験が長いかもしれんし、それなりの肩書きを引っさげて来たのかもしれんが、それがどうした、という感じです。残念ながら、中国の組織に乗り込んできた時点で、我々はリーダーとして認められていない、ということです。

ですから、信頼や尊敬を得るために絶対必要なのは、リーダーとして、個として、実力を認められることです。これまでの実績も日本での地位も関係ありません。現地の社員たちが認める実力を、彼らの前で示す必要があります。

これは中国に特有の話ではないですよね。国同士の関係においても、相手に認めさせる実力がなければ対等な関係は築けません。長い歴史・由緒・礼儀正しさなどは、無意味・無価値ではありませんが、実力のなさをカバーすることはできません。平和な関係、友好的な関係を構築するためには、実力の裏付けが必要である。これは厳然とした現実だと思います。そして駐在員も同じです。

●駐在員が求められる役割を発揮するために必要なこと
①脱落しない
②バカにされない
③親近感を持たれる
④信頼・尊敬される
⑤後任者にしっかりつなぐ

2019.09 Jin誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。