コラム

DACで始めたモぐラ叩きを卒業する解決策②

2022年10月21日
日本流が通用しない時代の組織経営

新たな年を迎えました。皆さん、今年もよろしくお願いします。一昨年末、私は2021年の漢字一文字に「再」を選びました(私は年末の振り返りではなく、翌年の抱負として考えるのが好き)。再開・再起動・再会……を込めて。結果的に再会はおあずけ、再開や再起動というよりは、まったく新しい挑戦に突っ込んでいった一年となりましたが。

今年の漢字は「弾」。これは「やりたい仕事・テーマで派手に弾ける!」と「どんどん弾を撃つ」を込めて。近年になくアグレッシブに取り組みたい気持ちが高まっています。いま、仕掛け始めておかないと、数年後には手遅れになるという危機感もあります。やらない後悔よりは、やって反省。がんがん行きたいと思います。

前回、DACで始めたモグラ叩きを卒業する解決策について途中まで紹介しました。

①企業管理の健康診断を実施
②診断に基づき制度を再整備
③新制度の運用に我々が入る

これを①→②→③ではなく、③→②→①とバックキャスティング思考で進めるのがポイント。従来は、まず①の現状チェックを試してみる。上がってきたレポートを読んでも、不正の証拠なんて出てこないし、重大な規定の不備も出てこない。小さな問題はあるものの、「問題一掃だ!」「改革だ!」と気運が高まるような材料にはならない。だから①で終わってしまい次はない……というケースがほとんどでした。①を試してみたことのある企業さんは、心当たりがありますよね。

私たちは、「どうしたらモグラ叩きを卒業できるか」から考えました。裏から言えば「なぜモグラ叩きから卒業できないのか」。十七年の経験から原因を列記すると、

・頻繁な駐在員の帰任・交代
・言葉の壁
・属人化して不透明な業務
・管理者の非協力・事なかれ

こんなことがあります。

モグラ叩きの原因は
共通四課題そのもの

実は、ここで挙げたのは、私が「日本企業が異文化圏で直面する組織の共通四課題」と呼んできたことそのものです。中国ではなく異文化圏の共通課題ですから、これを突破・解決できれば他国でも応用が利くはず。意義が大きいですね! がんばりましょう。

といって、駐在任期(通常は二〜四年)を私たちが変えるのは無理。言葉の壁も任期や双方の言語力を考えたら劇的解消は難しい。来たばかりの新任者が現地のベテランに指示を出したって、簡単に動くわけがない。私は、これらの課題を正面から解決せずにモグラ叩きから卒業するためには、仕組みの運用を外部で担うしかない、という結論に達しました。

2022.01 Jin誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。