コラム

DACで始めたモぐラ叩きを卒業する解決策

2022年09月22日
日本流が通用しない時代の組織経営

あっという間に12月。一年前にこのコラムで書いたことを読み返すと、まずはJINが継続発行できたことを喜んでいますね。確かにそんな年前半でした。あと、現地の最前線に留まり続けた皆さんに「本当にお疲れさまでした」とも。翌年の抱負では、「中長期のビジョン・挑戦目標を抱きつつ、どんな変化が生じても即応できる心の準備をしつつ、来年の取り組み課題を一つずつ進めていく」と書いています。

実際の2021年を振り返ると、書いた通りの一年でした。まだ年内に完遂したい仕事がいくつも残ってはいるものの、設定した「第二領域」の課題に一つずつ取り組み、形にしてきました。第二領域とは、名著・「七つの習慣」に出てくる、「緊急ではないが重要なこと」の領域。長年の課題だったことも含め、今年は第二領域でかなりの活動・成果がありました。反省点というか来年に持ち越しとなりそうなのは、まだ積み重ねてきた仕掛けが「収穫期」に入っていないこと。やることをやってきたという手応えがあるだけに、ちょっと悔しさもありますが、倦まず弛まずさらに活動を加速させていきたいと思います。

 

前回の最後で、「モグラ叩きの労務管理をどう卒業するか書いている傍らで、実はすごい解決策を思いついてしまいました。次回はその話をしましょう」と書きました。気になる書き方ですよね(笑)。これも今年取り組んだ第二領域のテーマの一つ。すでに三社から「パイロット・プロジェクトでいいから導入したい」と言われて進めています。まだ正式ご案内もしていない段階ですので、経営者の方々にも有効性・実行可能性を感じていただいているのかなと手応えを感じています。

 

地味な施策でも

発想の転換がポイント

まず、簡単にやり方を書いてしまうと、

①企業管理の健康診断を実施

②診断に基づき制度を再整備

③新制度の運用に我々が入る

というもの。これのどこがすごい解決策なんだ?と思いましたよね。ポイントは①→②→③じゃなくて、③→②→①という発想の転換にあります。

①の企業管理の診断は、中国でポピュラーなサービスですが、通常は「とりあえず現状把握のためにもチェックしてみよう」という感じで実施します。不正や問題行為の決定的証拠でも出てこないかしら、などと淡く期待しつつ。でも実際には中小の問題は出てくるものの、これを期に一網打尽だ!とか、決着をつけてやる!という材料はまず出てきません。どうにも不完全燃焼みたいな結果で終わってしまう。だから、①を踏まえて②という一般的なアプローチそのものに無理があります。

2021.12 Jin誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。