コラム

時代変化に適応する駐在員…直接対話のススメ6

2021年06月22日
日本流が通用しない時代の組織経営

北半球はようやく春がやってきました。私は昔から正直言って春が苦手ですが、今回は珍しく待ち遠しかったです(余談:なぜ春が苦手かというと、気温と共に身体は弛緩していくのに、社会的には入学・卒業・入社・異動など、引き締めて臨まなければいけない局面が多く、心身のバランスを保つのにストレスがかかるからだと思います。あ、花粉症もあった)。

気温が日替わりで10度も20度も上下するのは相変わらず辛いです。でもコロナウイルスが活性化する低温・乾燥の冬を抜けたことは、ほっとするというか、前向きな気分になりますね。

コロナ下の冬季、皆さんはどう過ごされましたか。私は昨年の春以降、相当の引きこもり状態だったので、さすがに運動不足が深刻化。これまでは出張や移動で、なんだかんだと結構歩いていたんですね。体重も増加傾向に拍車が。さすがにマズいと思って、朝の散歩を始めました。いま記録を見返したら、昨年の国慶節中にスタートしたようです。私の場合、新たな習慣は社員から追い立てられない春節か国慶節の期間中に始めよ、が鉄則になりつつあります。

毎日歩くのは3km前後。歩ける時間にあわせて、また飽きないよう、コースは五つ以上開拓しました(そのどれでもドリップコーヒーを買える♪)。歩きはじめて気づいたのは、膝や腰の調子が明らかによくなったこと。何日か歩かないと身体のストレスを感じるようになったこと。日差しや木々の変化。残念ながらこの程度の距離では体重や体型の変化に至りませんが、面倒臭さよりも楽しさの方が大きいのが、続いている要因だと思います。なぜかストイックと見られがちな私ですが、基本はニンジン作戦の方が効くようです。

さて、何回かにわたり直接対話の具体的な進め方を書いてきました。この直接対話の利点も整理しておきたいと思います。そもそも、直接対話の話は「駐在員が現地社員と相互信頼・尊敬の関係に至るため」の手段の一つとして出したものです。ですからこれに寄与することは当然として、少なくない利点があります。

●直接対話の利点
□尊重されている感じがする
□お互いの距離が近くなる
□仕事の速度が上がる
□致命的な誤解が減る

尊重されている感じがするというのは分かりやすいですよね。通訳の顔を見て話すのと、自分に直接語りかけてくれるのでは、全然違います。お互いの距離が近くなるのもそうですね。特に過去の駐在員が直接対話していなかった場合は、なおさら「今回来た小島さんは違う」と感じてもらえてラッキーです(なお、皆さんが直接対話を浸透させておくと、現地社員側の直接対話慣れが生じるため、次に来る駐在員のハードルも実は下がります。皆さんは安心して直接対話文化を築いてください)。

そして直接対話で距離感が縮まると、「何かあった時に声を掛けてくれる」という重要な利点が生まれます。常に通訳を使っていると、内々の相談事や報告事がある際、相手が話すのを躊躇します。通訳から情報が漏れたりするのを警戒するためです(通訳との人間関係、お互いの属する派閥などの問題が絡むこともあります)。直接対話できる関係になっておくと、この障壁を取り除くことができます。これは組織経営において重要です。

駐在員が求められる役割を発揮するために必要なこと
①脱落しない
②バカにされない
③親近感を持たれる
④信頼・尊敬される
⑤後任者にしっかりつなぐ

●相互信頼・尊敬のために
□リーダーの実力を示す
□現場に寄り添う
□一罰百戒を使いこなす
□大義名分に本気を見せる
□直接対話する

2021.03 Jin誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。