コラム

20.人材獲得競争に落伍する時代が来る

2019年11月05日
人事労務は海外経営の基礎

皆さんの会社では、最近、納得できる人材採用ができていますか。

ほとんど全業種が厳しい状況にある現在、採用意欲のある会社にとっては、好機とも言えるタイミングのはず。ところが「人が採れない」という声を聞きます(採ったものの育成に苦労しているという話も少なからず聞きます)。ホワイトカラーでもブルーカラーでも、採用難はじわじわ広がっている感じがします。

現在は採用抑制やリストラを考えるような状態の企業の方がずっと多いため、人が採れないという問題はあまりクローズアップされていません。また、一過性の問題であれば、あまり深刻に考える必要もありません。例えば、不況で都市での仕事を失ったため、田舎に帰る出稼ぎ工が増えたといった原因は、景気が回復すれば解消/緩和する可能性があります(そもそもホワイトカラーの採用難の原因ではないでしょうが)。

ただ、私は恒久的な変化が人材市場に起き始めているように思います。そう考える理由はいくつかあります。

まず思いつくのは少子化の影響。統計で新生人口を確認すると、1984年(いまから15年前に20歳)が2,077万人。1999年(今年20歳)が1,909万人。15年前と比べて約8%減少しました。しかし劇的な変化はこれから生じます。2009年の新生人口(いまから10年後に20歳)は1615万人。2004年の20歳と比べると22%以上の減少です。重要なのは、一人っ子政策の緩和などで多少の変化はあるにせよ、これは未来に向かう確定した流れだという点です。

2019.11 BizChina誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。