コラム

36.最終回「95后」が主流の時代…変化は常態

2021年09月10日
人事労務は海外経営の基礎

この稿を書く直前、本誌が今号で休刊になるとの連絡を受けました。連載の場が休刊/終了するのは、これで三つ目。95后の時代について話を広げ始めたところだったので、もう少し書きたかったという思いはありますが、残された誌面で収束させましょう。

95年后が主流の時代というテーマで私が最終的にお伝えしたかったのは二つ。一つは「経営者が手間暇や工夫を凝らさないと、自社にフィットするよい人材を採れない」。もう一つは「日本の10倍くらいのスピードで変化を受け入れ、過去の成功体験を捨てていかないと生き残れない」。

目の前の現実が不都合でも違和感を抱いても、現実に合わせて自分の感覚や打ち手を変えていくしかない。自分の感覚に合うものだけを切り取って見ていると、あっという間に落伍していく。我々全員がコロナ禍でこれを目の当たりにしましたし、シビアな中国でしのぎを削る皆さんにはなおさら理解いただけると思います。

目下、私は前者の見地から、自社の価値観に合致する社員をどう採るか、思案・工夫し続けています。採用という「点」だけでは見極めきれないため、試用期間・評価制度・処遇制度・一回目の契約期間をフル動員して「線」や「面」での見極めを行っています。これに加えて、これからは95后の「当たり前」に自分たちが合わせていくことも必要になるでしょう。

こういう環境変化に受け身で向き合うと、中国での経営は辛いことこの上ないですが、変化への挑戦を楽しみ、アジア時代の適応力を鍛える「虎の穴」と捉えれば、最高の環境と言えます。私のチームは、17年間この環境を楽しんできたからこそ、コロナ禍でも既存のやり方を捨て、新しい挑戦を始めることに躊躇がありませんでした。

皆さんもぜひ、中国での変化の速さ・激しさを楽しんでください。

2021.04 BizChina誌

この記事を書いた人

小島 庄司Shoji Kojima

多文化混成組織の支援家、Dao and Crew 船長。
事業環境のシビアさでは「世界最高峰」と言われる中国で、日系企業のリスク管理や解決困難な問題対応を 15 年以上手がけ、現地で「野戦病院」「駆け込み寺」と称される。国籍・言葉・個性のバラバラなメンバーが集まるチームは強いし楽しい!を国内外で伝える日々。